第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題75

疾患とその病因・病理学的変化の組み合わせについて、正しいものを選びなさい。

  1. Creutzfeldt Jakob 病 – 神経変性疾患
  2. Parkinson 病 – 腫瘍性疾患
  3. 肝性脳症 – 感染性疾患
  4. 多系統萎縮症 – 脳血管疾患
  5. 多発性硬化症 – 脱髄疾患

解答解説

正解は 5.多発性硬化症 – 脱髄疾患 です。

多発性硬化症(MS)は、自己免疫反応によって中枢神経系(脳・脊髄)の髄鞘が破壊される脱髄疾患です。この結果、神経伝導速度が低下し、感覚障害、運動麻痺、視覚障害などが発生します。特徴的には、病状の寛解と再発を繰り返す経過を示します。

各選択肢の解説

  1. Creutzfeldt Jakob 病 – 神経変性疾患
    Creutzfeldt Jakob 病(CJD)は、プリオンが原因で脳内に異常タンパク質が蓄積し、神経変性を引き起こす疾患です。これは確かに神経変性疾患に分類されるため、この選択肢も正しいように見えます。しかし、CJDの主要な特徴は感染性を伴うプリオン病として区別される点であり、この選択肢は問題文における主旨(主要な病理学的変化に基づく正確性)からやや外れています。最適な選択肢ではありません。
  2. Parkinson 病 – 腫瘍性疾患
    Parkinson病は、黒質緻密部のドーパミン産生神経細胞が進行的に減少することで発症する神経変性疾患です。腫瘍性疾患ではないため、この選択肢は誤りです。
  3. 肝性脳症 – 感染性疾患
    肝性脳症は、肝不全によるアンモニアなどの毒性物質が脳に作用して神経症状を引き起こす疾患です。感染性疾患ではなく、代謝性疾患に分類されます。この選択肢は誤りです。
  4. 多系統萎縮症 – 脳血管疾患
    多系統萎縮症(MSA)は、神経系の複数の部位が変性する神経変性疾患であり、脳血管疾患ではありません。この選択肢は誤りです。
  5. 多発性硬化症 – 脱髄疾患(正解)
    多発性硬化症(MS)は中枢神経系の脱髄が主な病理学的変化である疾患です。この選択肢が正しいです。

ワンポイントアドバイス

疾患とその病因・病理学的変化を関連付けて覚える際は、疾患の分類(例:神経変性疾患、脱髄疾患、代謝性疾患など)を正確に把握することが重要です。また、脱髄疾患としては多発性硬化症やギラン・バレー症候群、中枢神経系の神経変性疾患としてはアルツハイマー病やパーキンソン病など、代表的な疾患を分類ごとに整理しておくと試験対策に役立ちます。