第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題30

静的立位で下肢義足の足部内側が床から浮き上がった。原因はどれか。

  1. toe-out 角が大きすぎる。
  2. 初期内転角が不足している。
  3. ソケットの外壁が高すぎる。
  4. 足部が外側に位置しすぎている。
  5. ソケットが内側に位置しすぎている。

解答解説

正解は2.初期内転角が不足しているです。

下肢義足では、大腿義足の大腿ソケットが適切な内転角を保つことで、義足の足部が正しい接地を得られるように設計されています。初期内転角が不足すると、大腿部が外側に倒れ、義足の足部内側が床から浮き上がる現象が生じます。これは静的立位の安定性を損なうため、内転角の適切な調整が必要です。

各選択肢の解説

  1. toe-out 角が大きすぎる。
    toe-out角が大きすぎると、足部が外旋し、歩行時のバランスに影響しますが、足部内側が浮き上がる直接的な原因にはなりません。この選択肢は誤りです。
  2. 初期内転角が不足している。(正解)
    初期内転角が不足すると、大腿部が外側に倒れやすくなり、義足の足部内側が床から浮き上がります。 これは静的立位でのバランスに直接影響を与えるため、この選択肢が正解です。
  3. ソケットの外壁が高すぎる。
    ソケットの外壁が高すぎると、圧迫感や不快感を与える可能性はありますが、足部内側の浮き上がりには直接関与しません。この選択肢は誤りです。
  4. 足部が外側に位置しすぎている。
    足部が外側に位置しすぎると、義足全体が外側に傾き、静的立位でのバランスに影響します。ただし、足部内側の浮き上がりには関与しません。この選択肢は誤りです。
  5. ソケットが内側に位置しすぎている。
    ソケットが内側に位置しすぎると、大腿部が内側に寄り、足部の外側が浮き上がる可能性はありますが、足部内側の浮き上がりには直接関係しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

義足の静的立位での適合チェックでは、ソケットの内転角や足部の位置が重要です。不適切な内転角は静的バランスに影響を及ぼすため、装着時の観察と調整が必要です。義足装具の適合問題を問う試験では、ソケットの角度や足部の位置の関係を正確に理解しましょう。