第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題74

運動学習に関して最も適切なものを選びなさい。

  1. 学習初期から二重課題法を取り入れる。
  2. 学習課題の難易度は高いほど効果がある。
  3. 療法士の助言は内在的フィードバックである。
  4. 記憶障害がある場合は試行錯誤学習を適応する。
  5. 運動技能が向上すればエネルギー効率が良くなる。

解答解説

正解は 5.運動技能が向上すればエネルギー効率が良くなる です。

運動技能が向上すると、不必要な筋活動が減少し、よりスムーズな動作が可能になります。これにより、運動の効率が高まり、エネルギー消費が減少することが知られています。運動学習の結果としてエネルギー効率が向上することは、生理学的にも確認されています。

各選択肢の解説

  1. 学習初期から二重課題法を取り入れる
    二重課題法は、注意分散を伴う状況下でのパフォーマンスを向上させるために用いられますが、学習初期では注意を一つの課題に集中させる必要があるため適しません。したがって、この選択肢は誤りです。
  2. 学習課題の難易度は高いほど効果がある
    課題の難易度は学習者のスキルレベルに応じて調整する必要があります。過度に高い難易度は学習を妨げ、挫折感を引き起こす可能性があります。適切な難易度設定が最も効果的です。この選択肢は誤りです。
  3. 療法士の助言は内在的フィードバックである
    療法士の助言は、学習者自身の感覚や認知から得られる情報ではなく、外部から提供される外在的フィードバックです。この選択肢は誤りです。
  4. 記憶障害がある場合は試行錯誤学習を適応する
    記憶障害がある場合、試行錯誤による学習は困難です。代わりに、エラーレスラーニング(失敗を最小限に抑えた方法)が推奨されます。この選択肢は誤りです。
  5. 運動技能が向上すればエネルギー効率が良くなる(正解)
    運動学習が進むにつれ、運動パターンが洗練され、余分な筋活動やエネルギー消費が減少します。効率の良い動作の実現は運動学習の重要な目標であり、この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

運動学習は、練習を通じて効率的な運動パターンを構築する過程です。内在的フィードバック(自身の感覚)と外在的フィードバック(療法士からの助言など)の両方を効果的に利用することが重要です。また、学習段階に応じて課題の難易度を調整し、注意を集中させる初期段階から、応用力を鍛える後期段階へと進む適切な指導が求められます。