2歳の女児。痙直型四肢麻痺。臥位では頭部コントロール良好で、背臥位から腹臥位への寝返りが可能である。背臥位と腹臥位での様子を図に示す。
この時期に優先して行う理学療法で最も適切なのはどれか。
- 下肢の筋力増強
- 介助下での歩行練習
- 椅子からの立ち上がり練習
- 立位での陽性支持反射の促通
- 座位での体幹の立ち直り反応の促通
解答解説
正解は5.座位での体幹の立ち直り反応の促通です。
痙直型四肢麻痺では、筋緊張の異常や運動機能の障害により、体幹の安定性や姿勢制御に困難を伴うことが多いです。この症例では、臥位での頭部コントロールが可能であり、次の段階として座位での体幹の安定性を高める立ち直り反応の促通が重要です。これにより、より高次の動作(立位や歩行)への準備が整います。
各選択肢の解説
- 下肢の筋力増強
下肢の筋力増強は、立位や歩行を目指す際に重要ですが、この時期では体幹の安定性や立ち直り反応の発達が優先されるため、まだ適切ではありません。 - 介助下での歩行練習
歩行練習は高次の動作であり、座位や立位の安定性が確立されてから行うべきです。この時期に行うのは早過ぎます。 - 椅子からの立ち上がり練習
立ち上がり動作も高次の動作であり、座位での安定性や立ち直り反応が促通されてから進める段階の練習です。この時期の優先事項ではありません。 - 立位での陽性支持反射の促通
陽性支持反射の促通は、立位保持や歩行の準備段階で必要ですが、体幹の安定性が確立していない段階では効果が限定的であり、この時期には適切ではありません。 - 座位での体幹の立ち直り反応の促通(正解)
体幹の立ち直り反応は、座位や立位での姿勢安定性を確保するための重要な基盤となる動作です。 この段階で座位における体幹の安定性を強化することが、次のステップへの準備となります。この選択肢が最も適切です。
ワンポイントアドバイス
痙直型四肢麻痺の治療では、動作発達の順序に基づき、体幹の安定性を最優先に考慮することが重要です。座位での安定性が確立されることで、立位や歩行などの高次動作の基礎が形成されます。姿勢反応(立ち直り反応、平衡反応)を促進する練習を中心に取り組みましょう。