第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題22

成人に対する一次救命措置で正しいのはどれか。

  1. 呼吸数を測定する。
  2. 人工呼吸は10回以上連続して行う。
  3. 胸骨圧迫は1分間に10回の頻度で行う。
  4. 人工呼吸は胸が上がる程度の空気を吹き込む。
  5. 胸骨圧迫は胸が1cm程度沈む強さで圧迫する。

解答解説

正解は4.人工呼吸は胸が上がる程度の空気を吹き込むです。

一次救命措置(BLS:Basic Life Support)において、人工呼吸を行う際は、適切な量の空気を吹き込み、胸が軽く上がることを確認します。それ以上の過剰な吹き込みは、胃への空気流入や吐物による気道閉塞を引き起こす可能性があるため避けるべきです。

各選択肢の解説

  1. 呼吸数を測定する。
    一次救命措置では、呼吸の有無を「見る、聞く、感じる」で確認しますが、呼吸数を測定することは含まれません。この選択肢は誤りです。
  2. 人工呼吸は10回以上連続して行う。
    人工呼吸は胸骨圧迫と組み合わせて行います。2回の人工呼吸を行った後、すぐに胸骨圧迫に戻ることが推奨されます(30:2の比率)。連続して10回以上行うのは適切ではありません。この選択肢は誤りです。
  3. 胸骨圧迫は1分間に10回の頻度で行う。
    胸骨圧迫は1分間に100~120回の頻度で行うことが推奨されています。10回では頻度が低すぎ、心拍出量を確保できません。この選択肢は誤りです。
  4. 人工呼吸は胸が上がる程度の空気を吹き込む。(正解)
    人工呼吸では胸が軽く上がる程度の空気を吹き込むことが重要です。 これは適切な救命措置の方法であり、正しい選択肢です。
  5. 胸骨圧迫は胸が1cm程度沈む強さで圧迫する。
    成人に対する胸骨圧迫では、胸が約5~6cm沈む深さで行うことが推奨されています。1cmでは圧迫が浅すぎて効果的な循環補助が得られません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

一次救命措置の基本はCAB(胸骨圧迫→気道確保→人工呼吸)です。胸骨圧迫は1分間に100~120回、胸が5~6cm沈む深さで行います。人工呼吸では過剰な空気を送り込まないことが重要です。これらの基準をしっかり覚えて、試験や実践に備えましょう。