第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題18

85歳の女性。脳梗塞による左片麻痺。歩行練習中に下肢装具の条件を変えて歩行を比較したところ、底屈制動を軽減して中足足根関節部以遠の可撓性を高めることで歩幅が増加した。

改善に影響を与えた麻痺側の主な歩行周期はどれか。

  1. 荷重応答期
  2. 立脚中期
  3. 立脚後期
  4. 遊脚中期
  5. 遊脚後期

解答解説

正解は3.立脚後期です。

歩行時の立脚後期は、足部の底屈(足関節のプッシュオフ)が起こる時期です。この時期には、中足足根関節部の可撓性が重要であり、底屈制動を軽減することでプッシュオフ動作がスムーズになり、歩幅が増加します。この

は、装具の調整による歩行改善が立脚後期に与える影響を示しています。

各選択肢の解説

  1. 荷重応答期
    荷重応答期では、足が接地して体重が乗るタイミングで、足関節は背屈方向にコントロールされます。この時期に底屈制動や中足足根関節部の可撓性は大きな影響を与えません。このため、該当しません。
  2. 立脚中期
    立脚中期は、体重が足の真上を通過する時期であり、足関節の安定性が求められる段階です。底屈制動や可撓性が影響を与える場面ではなく、この選択肢は誤りです。
  3. 立脚後期(正解)
    立脚後期では、足部の底屈が発生し、プッシュオフ動作を通じて次の遊脚期に移行します。底屈制動を軽減し、可撓性を高めることでプッシュオフが強化され、歩幅が増加する要因となります。これが正解です。
  4. 遊脚中期
    遊脚中期は、足が空中を移動する段階であり、この時期に底屈制動や可撓性が直接影響を与えることはありません。このため、該当しません。
  5. 遊脚後期
    遊脚後期は足が地面に接地する直前の段階であり、足関節の背屈が求められる時期です。この時期も底屈制動や可撓性とは関連性が薄いため、誤りです。

ワンポイントアドバイス

立脚後期のプッシュオフ動作は、歩幅や歩行の効率性を大きく左右します。 装具の調整が歩行周期にどのような影響を与えるかを把握することは、臨床や試験対策で重要です。装具の底屈制動や可撓性の調整が、立脚後期の動作改善に直結することを理解しておきましょう。