第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題73

成人の正常立位姿勢に関して正しいものを選びなさい。

  1. 仙骨は前弯を示す。
  2. 腰仙角は約5度である。
  3. 重心の位置は小児より相対的に頭部に近い。
  4. 矢状面における重心は仙骨の前方に位置する。
  5. 矢状面上における身体の重心線は大転子の前方を通る。

解答解説

正解は 4.矢状面における重心は仙骨の前方に位置する です。

成人の正常立位姿勢では、身体の重心は仙骨前方の高さ(第2仙椎付近)に位置します。重心は身体の安定性を維持する重要な指標であり、立位姿勢の基準となります。

各選択肢の解説

  1. 仙骨は前弯を示す
    仙骨は**後弯(後方凸)**の形状を示します。正常な脊柱弯曲では、頸椎と腰椎が前弯、胸椎と仙骨が後弯を示します。したがって、この選択肢は誤りです。
  2. 腰仙角は約5度である
    腰仙角(仙骨傾斜角)は、骨盤の傾斜を示す角度で、正常な成人では30~40度が平均です。5度は著しく小さいため、この選択肢は誤りです。
  3. 重心の位置は小児より相対的に頭部に近い
    小児は成人に比べて頭部が大きいため、重心は相対的に頭部に近い位置にあります。一方、成人では身体全体の重心が骨盤付近(仙骨前方)に位置するため、この選択肢は誤りです。
  4. 矢状面における重心は仙骨の前方に位置する(正解)
    成人の立位での身体の重心は、矢状面上で仙骨の前方に位置します。この重心位置は安定性の維持において重要であり、運動療法やバランス評価にも応用されます。
  5. 矢状面上における身体の重心線は大転子の前方を通る
    矢状面上の重心線(耳垂、大転子、膝関節のやや前方、外果のやや前方を通る線)は、通常大転子のやや後方を通過します。よって、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

正常な立位姿勢の評価では、脊柱の弯曲や重心位置を正確に把握することが重要です。特に、矢状面上の重心線や仙骨前方の重心位置を理解しておくと、立位姿勢の異常(例:骨盤前傾や後傾)を見つけやすくなります。また、小児と成人の重心位置の違いも試験で問われることが多いポイントです。