嚥下障害がある患者の胸部エックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。予想される理学所見はどれか。
- 胸痛
- 乾性咳嗽
- 頸静脈怒張
- 右胸部打診で鼓音
- 右胸部聴診で水疱音
解答解説
正解は5.右胸部聴診で水疱音です。
この胸部X線写真では、右肺野に浸潤影が認められます。嚥下障害がある患者では、誤嚥性肺炎を引き起こしやすく、肺炎の典型的な所見として水疱音(湿性ラ音)が聴取されることがあります。特に誤嚥性肺炎では右肺が影響を受けやすいため、右胸部で水疱音を確認することが予想されます。
各選択肢の解説
- 胸痛
胸痛は肺炎の初期症状としては一般的ではありません。胸膜炎を伴う場合や肺塞栓症が疑われる場合に生じますが、この患者の症例には合致しません。 - 乾性咳嗽
乾性咳嗽は主に間質性肺炎や肺線維症などでみられます。誤嚥性肺炎では湿性咳嗽や痰を伴う咳嗽が典型的であり、この患者には該当しません。 - 頸静脈怒張
頸静脈怒張は心不全や肺高血圧症、右心系の負担が原因でみられる所見です。この患者では嚥下障害が主訴であり、肺炎が中心の症状であるため該当しません。 - 右胸部打診で鼓音
鼓音は空気が多く含まれる肺気腫や気胸でみられる所見です。肺炎ではむしろ濁音が打診で確認される可能性が高く、この患者には合致しません。 - 右胸部聴診で水疱音(正解)
水疱音(湿性ラ音)は、肺炎で特徴的に聴取される所見です。特に誤嚥性肺炎では右肺下葉が好発部位であり、この症例では右胸部での水疱音聴取が予想されます。これが正解です。
ワンポイントアドバイス
誤嚥性肺炎は嚥下障害が背景にある場合に生じやすく、右肺下葉が好発部位です。臨床的には湿性ラ音や発熱、痰を伴う咳嗽が重要な診断の手がかりです。胸部X線で浸潤影を確認し、理学所見と合わせて総合的に判断する力を養いましょう。