第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題50

側方突進が出現する可能性が最も高い病変部位はどれか。

  1. 小脳虫部
  2. 黒質緻密部
  3. 視床内側部
  4. 延髄外側部
  5. 内包後脚部

解答解説

正解は4.延髄外側部です。

側方突進は、バランスが崩れた際に片側方向へ大きく体が傾いたり転倒しそうになる現象で、延髄外側部(外側延髄症候群:Wallenberg症候群)でよく見られます。この部位の病変により、同側の前庭機能や小脳への連絡が障害され、体幹の制御が困難になり、側方への不安定が顕著になります。

各選択肢の解説

  1. 小脳虫部
    小脳虫部の障害では、主に体幹失調が生じ、歩行時のふらつきが中心です。側方突進は一般的ではありません。この選択肢は誤りです。
  2. 黒質緻密部
    黒質緻密部は、Parkinson病に関連する部位です。特徴的な症状として、安静時振戦や筋固縮、無動がありますが、側方突進は直接的には関連しません。この選択肢は誤りです。
  3. 視床内側部
    視床内側部は、感覚障害や痛みなどに関連しますが、側方突進のような運動失調やバランス障害とは直接的に関連しません。この選択肢は誤りです。
  4. 延髄外側部(正解)
    延髄外側部の障害では、前庭神経核や小脳との連絡障害が生じるため、側方突進が顕著に見られます。 この選択肢が正解です。
  5. 内包後脚部
    内包後脚部の障害では、反対側の運動麻痺や感覚障害が見られますが、側方突進は一般的ではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

側方突進は、延髄外側部(Wallenberg症候群)の病変が最も関係します。 その他の特徴的な症状として、回転性めまい、ホルネル症候群、嚥下障害などが見られます。解剖学的知識と病態生理を関連付けて覚えると理解が深まります。