35歳の女性。橈骨遠位端骨折後に右上肢にCRPS<複合性局所疼痛症候群>を生じた。この患者にみられる所見に合致しないのはどれか。
- 浮腫
- 痛覚鈍麻
- 発汗異常
- アロディニア
- 皮膚温の変化
解答解説
正解は2.痛覚鈍麻です。
CRPS(複合性局所疼痛症候群)は、強い痛みや感覚異常が特徴の病態です。主な症状には浮腫、発汗異常、皮膚温の変化、アロディニア(非侵害刺激に対する痛み)が含まれますが、痛覚鈍麻(感覚が低下する状態)は典型的な症状ではありません。むしろ、痛覚が過敏になることが多いです。
各選択肢の解説
- 浮腫
CRPSでは患部に浮腫が頻繁にみられます。炎症反応や循環障害が原因で、初期段階では特に顕著です。この患者にも合致します。 - 痛覚鈍麻(正解)
痛覚が低下する「痛覚鈍麻」はCRPSの典型的な症状ではありません。CRPSではむしろ感覚が過敏になり、アロディニアや痛覚過敏が主症状として現れます。このため、合致しない所見として正解です。 - 発汗異常
発汗が増加したり減少したりする異常がCRPSの特徴です。交感神経の異常亢進や低下が関与しています。この患者にも合致します。 - アロディニア
アロディニア(通常痛みを感じない刺激で痛みを生じる現象)はCRPSの典型的な症状です。特に軽い触刺激や温度変化で強い痛みを感じることがあります。この患者にも合致します。 - 皮膚温の変化
皮膚温が高くなる(炎症反応)か、低くなる(血流低下)のどちらかが見られます。血管の異常収縮・拡張が関与し、CRPSの診断基準にも含まれます。この患者にも合致します。
ワンポイントアドバイス
CRPSは痛み、浮腫、皮膚温や発汗の異常、感覚過敏が特徴的です。痛覚鈍麻はCRPSよりも末梢神経障害など他の疾患を考える必要があります。CRPSの初期と後期で症状が変化するため、各段階の特徴を把握しておくことが試験対策に役立ちます。