第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題3

動脈血ガス分析の結果を表に示す。正しいのはどれか。

  1. 呼吸性アシドーシス
  2. 代謝性アルカローシス
  3. 共用基準範囲
  4. 代謝性アシドーシス
  5. 呼吸性アルカローシス

解答解説

正解は5です。

この動脈血ガス分析の結果から、呼吸性アルカローシスが示唆されます。以下、各値について分析します。

  • pH 7.473:基準値(7.35~7.45)を上回るため、アルカローシスであることがわかります。
  • PaCO₂ 33.4 mmHg:基準値(35~45 mmHg)より低いため、二酸化炭素の排出過剰、すなわち呼吸性要因が関与しています。
  • HCO₃⁻ 22.8 mEq/L:基準値(22~26 mEq/L)であり、代謝性要因は関与していません。

これらの結果から、アルカローシスの原因が呼吸性であることが明らかです。

各選択肢の解説

  1. 呼吸性アシドーシス
    呼吸性アシドーシスでは、pHが基準値より低くなり、PaCO₂が高値を示します。この結果には該当しません。
  2. 代謝性アルカローシス
    代謝性アルカローシスでは、HCO₃⁻の値が高くなりますが、この結果ではHCO₃⁻は基準値内です。この選択肢は該当しません。
  3. 共用基準範囲
    pH、PaCO₂、PaO₂、HCO₃⁻のいずれも基準値外であり、共用基準範囲内ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 代謝性アシドーシス
    代謝性アシドーシスでは、pHが低下し、HCO₃⁻が低値となります。この結果には該当しません。
  5. 呼吸性アルカローシス(正解)
    正しい選択肢です。アルカローシス(pH上昇)の原因がPaCO₂の低下によるものであり、呼吸性アルカローシスに該当します。

ワンポイントアドバイス

動脈血ガス分析の解釈手順:

  1. pHの確認:酸性(<7.35)かアルカリ性(>7.45)かを判別する。
  2. PaCO₂の確認:呼吸性要因(PaCO₂)か代謝性要因(HCO₃⁻)が原因かを特定する。
  3. HCO₃⁻の確認:代謝性要因の有無を評価する。

基本的な基準値を覚えておくことが重要です:

  • pH:7.35~7.45
  • PaCO₂:35~45 mmHg
  • HCO₃⁻:22~26 mEq/L