第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題37

フレイルの高齢者の特徴について正しいのはどれか。

  1. 筋量が増加する。
  2. FBSが低値になる。
  3. TUG時間が短くなる。
  4. 長座位前屈距離が短くなる。
  5. 運動負荷時のBorg指数が低値となる。

解答解説

正解は2です。

FBS(Functional Balance Scale、機能的バランススケール)は、平衡機能を評価する指標であり、フレイル高齢者ではバランス能力が低下するためFBSが低値となります。 フレイルは身体機能、認知機能、社会的能力の低下が特徴で、転倒リスクの増加や運動能力の低下がみられます。

各選択肢の解説

  1. 筋量が増加する。
    フレイル高齢者では筋量が減少(サルコペニア)するのが特徴です。筋力低下や運動機能の減少を伴うため、「筋量が増加する」という記述は誤りです。
  2. FBSが低値になる。
    FBSはバランス能力を測定する指標であり、フレイルでは筋力低下や運動機能の低下によってバランス能力も低下します。その結果、FBSは低値となります。これが正しい選択肢です。
  3. TUG時間が短くなる。
    TUG(Timed Up and Go)テストは、椅子から立ち上がり、3メートル歩いて戻るまでの時間を測定するテストです。フレイル高齢者では歩行能力が低下し、TUG時間は延長するため、この記述は誤りです。
  4. 長座位前屈距離が短くなる。
    長座位前屈距離は主に柔軟性を測定する指標であり、フレイル高齢者では柔軟性も低下する可能性があります。しかし、フレイルの直接的な特徴というよりは二次的要因であり、適切ではありません。
  5. 運動負荷時のBorg指数が低値となる。
    Borg指数は主観的運動強度を評価する指標であり、フレイル高齢者では運動耐性が低下するため、運動中の主観的負担感が強くなります。そのため、Borg指数は高値となることが多く、この記述は誤りです。

ワンポイントアドバイス

フレイルの特徴は、筋力やバランス能力の低下だけでなく、認知機能や社会的活動の低下も含まれます。リハビリテーションでは、運動療法に加え、栄養管理や社会参加を促進する介入が重要です。また、サルコペニアや転倒リスク評価の関連指標(FBSやTUG)も試験対策として覚えておきましょう。