第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題36

平衡機能障害において、後索性や小脳性に比べ前庭性に最も関連する異常はどれか。

  1. 眼振
  2. 構音障害
  3. 深部感覚障害
  4. 耳鳴り
  5. Romberg試験陽性

解答解説

正解は4. 耳鳴りです。

解説

平衡機能障害は、前庭系、後索路、小脳などが原因で生じることがあります。それぞれの障害の特徴を理解することで鑑別が可能です。耳鳴りは前庭性障害に特有の症状の一つで、特に内耳や前庭神経の病変に伴います。

前庭性障害の主な症状

  • 耳鳴り難聴(内耳性の場合)
  • 回転性めまい
  • 眼振(末梢性では一方向性)
  • Romberg試験陽性(重度の場合)

各選択肢の解説

  1. 眼振
    前庭性でも小脳性でも見られる所見であり、特異性は低いです。
    不適切
  2. 構音障害
    小脳性障害や脳幹障害で見られることが多く、前庭性障害には関連が薄いです。
    不適切
  3. 深部感覚障害
    深部感覚障害は後索路障害(脊髄後索や内側毛帯)に関連します。振動覚や位置覚が低下し、Romberg試験で陽性となることがありますが、前庭性ではありません。
    不適切
  4. 耳鳴り
    耳鳴りは内耳や前庭神経の障害で典型的に見られる症状で、前庭性障害を示唆します。
    正解
  5. Romberg試験陽性
    Romberg試験陽性は後索障害や小脳性障害でも見られるため、特異性が低いです。
    不適切

ワンポイントアドバイス

前庭系の障害(特に末梢性)では、耳鳴りや難聴が伴うことが特徴です。一方、小脳性障害では構音障害や運動失調、後索性障害では深部感覚障害が中心となるため、症状の鑑別が重要です。