寒冷療法が痙縮を低下させる機序はどれか。
- 筋組織の代謝の増大
- 毛細血管透過性の増大
- γ神経線維の伝導速度の低下
- δ神経線維の伝導速度の低下
- 筋紡錘からの求心性放電の増大
解答解説
正解はγ神経線維の伝導速度の低下です。
解説
寒冷療法は、局所的に皮膚や筋肉に冷却刺激を与えることで、神経や筋肉の活動を抑制する効果があります。寒冷療法による痙縮低下の主な作用機序は以下の通りです:
- γ神経線維は筋紡錘の感度を調節する神経であり、その伝導速度が低下すると筋紡錘の興奮性が低下します。これにより、筋緊張が抑制され、痙縮が軽減します。
- 寒冷刺激は神経伝導速度を全般的に低下させますが、特に小径の神経線維であるγ線維に強い影響を与えます。
各選択肢の解説
- 筋組織の代謝の増大
寒冷療法では筋組織の代謝はむしろ減少します。代謝の増大は痙縮低下の機序ではありません。
→ 不適切 - 毛細血管透過性の増大
寒冷刺激では毛細血管の透過性は増大せず、血流が抑制されます。痙縮低下に直接関与しません。
→ 不適切 - γ神経線維の伝導速度の低下
筋紡錘の感度を低下させ、痙縮を緩和する主な機序です。
→ 正解 - δ神経線維の伝導速度の低下
δ神経線維は主に痛覚を伝える神経であり、痙縮低下の機序とは直接関係がありません。
→ 不適切 - 筋紡錘からの求心性放電の増大
求心性放電が増大すると筋緊張が高まり、痙縮を悪化させる方向に働きます。
→ 不適切
ワンポイントアドバイス
寒冷療法は、痙縮や痛みに対するリハビリテーションで広く使用されますが、その効果は一時的です。根本的な治療や運動療法と組み合わせて用いることが重要です。γ神経線維の伝導速度低下が痙縮軽減のポイントであることを押さえておきましょう。