第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題32

末性めまいに対する理学療法で適切なのはどれか。

  1. めまいを生じないよう服薬後に運動療法を行う。
  2. 椎骨脳底動脈循環不全に準じた運動療法を行う。
  3. Ménière病にはEpley法が有効である。
  4. 回復期には注視眼振が出現しやすいので固視を促す運動を行う。
  5. 寝返りや振り向き動作などによる回転刺激で前庭代償を促す。

解答解説

正解は5.寝返りや振り向き動作などによる回転刺激で前庭代償を促す。です。

末性めまいに対する理学療法では、寝返りや振り向き動作などを積極的に行い、前庭代償を促進することが重要です。これにより、前庭機能の改善や中枢の代償メカニズムが働き、めまい症状の軽減が期待されます。回転刺激による慣れが、機能回復の鍵となります。

選択肢の解説

  1. めまいを生じないよう服薬後に運動療法を行う。
    服薬によりめまい症状が軽減してから運動療法を行うと、中枢代償が遅れ、治療の効果が十分に得られない可能性があります。むしろ適切な刺激を与えることが重要です。この選択肢は誤りです。
  2. 椎骨脳底動脈循環不全に準じた運動療法を行う。
    椎骨脳底動脈循環不全は中枢性めまいに該当し、末性めまいとは病態が異なります。それに準じた運動療法を行うのは適切ではありません。この選択肢は誤りです。
  3. Ménière病にはEpley法が有効である。
    Epley法(浮遊耳石置換法)は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の治療法であり、Ménière病には適用されません。Ménière病には、むしろ内耳の水分バランス調整や薬物療法が必要です。この選択肢は誤りです。
  4. 回復期には注視眼振が出現しやすいので固視を促す運動を行う。
    固視を促す運動は、注視眼振が中枢代償を阻害する可能性があるため、一般的に推奨されません。むしろ自然な視覚刺激や動作を伴うリハビリが重要です。この選択肢は誤りです。
  5. 寝返りや振り向き動作などによる回転刺激で前庭代償を促す。
    末性めまいに対する理学療法として、回転刺激や動作の反復を通じて前庭代償を促進することは有効です。前庭機能の適応を助け、中枢での補正を促す目的があります。この選択肢が正解です。

ワンポイントアドバイス

末性めまいのリハビリテーションでは、積極的な動作や頭部の動きを取り入れることが治療のポイントです。前庭代償を早期に促進するため、日常動作を意識的に行わせることが重要です。特定の治療法(Epley法やBrandt-Daroff運動など)と病態の適合性を把握し、適切に選択できるようにしましょう。