第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題28

注意障害で、料理中にかかってきた電話に気付くことができないという現象が認められるのはどれか。

  1. 注意の選択性障害
  2. 注意の持続性障害
  3. 注意の転換性障害
  4. 注意の配分性障害
  5. 方向性の注意障害

解答解説

正解は3.注意の転換性障害です。

注意の転換性障害は、複数の対象に対して注意を切り替える能力が低下している状態を指します。料理中にかかってきた電話に気付けないのは、料理という一つの作業に注意が固定されてしまい、電話という新しい刺激に注意を転換できないためです。

選択肢の解説

  1. 注意の選択性障害
    注意の選択性障害は、複数の刺激の中から特定の対象に注意を向ける能力が低下する状態を指します。例えば、雑踏の中で特定の人の声を聞き分けられない場合が該当します。料理中の電話に気付けない現象とは異なります。この選択肢は誤りです。
  2. 注意の持続性障害
    注意の持続性障害は、一つの対象や作業に長時間注意を向け続ける能力が低下する状態を指します。例えば、単調な作業を続けることが難しい場合が該当します。本事例では、注意を切り替える能力の問題であるため、この選択肢は誤りです。
  3. 注意の転換性障害
    注意の転換性障害は、一つの対象から別の対象に注意を素早く切り替える能力が低下している状態を指します。料理中の作業から電話の着信音への注意の切り替えができないのはこの障害に該当します。この選択肢が正解です。
  4. 注意の配分性障害
    注意の配分性障害は、複数の作業を同時に行う際に、注意を適切に分配できない状態を指します。例えば、会話をしながら運転することが難しい場合が該当します。本事例は注意を切り替える能力の問題であり、この選択肢は誤りです。
  5. 方向性の注意障害
    方向性の注意障害は、空間の特定の方向への注意が低下する状態を指します。例えば、左半側空間無視などが該当します。空間的な問題ではない本事例には該当しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

注意障害の種類は複数あり、それぞれ異なる日常生活での問題として現れます。注意の転換性障害は、単一作業に没頭してしまい、他の新しい刺激に反応できないという特徴があります。試験対策として、選択性、持続性、転換性、配分性、方向性の各注意障害の特徴を具体的な事例と結びつけて覚えておきましょう。