加齢に伴う生理的変化について正しいのはどれか。
- 胸腺が肥大する。
- 筋の収縮速度が速くなる。
- 視覚の明順応時間は変化しない。
- 筋量は下肢より上肢の方が減少する。
- 低音域より高音域が聞こえにくくなる。
解答解説
正解は5.低音域より高音域が聞こえにくくなる。です。
加齢に伴う生理的変化として、高音域が聞こえにくくなる(高音域の感受性低下)が挙げられます。これは加齢性難聴(老人性難聴)の特徴であり、内耳の蝸牛の高音域を感受する部位が最初に障害されるためです。この変化は、老化に伴う聴覚器の自然な退行現象です。
選択肢の解説
- 胸腺が肥大する。
加齢に伴い、胸腺はむしろ萎縮します。胸腺の萎縮によりT細胞の生成が減少し、免疫機能が低下する原因となります。この選択肢は誤りです。 - 筋の収縮速度が速くなる。
加齢により、筋繊維のタイプⅡ(速筋)の減少が顕著であり、筋の収縮速度は低下します。特に反射的な動作や爆発的な力を必要とする動作が遅くなります。この選択肢は誤りです。 - 視覚の明順応時間は変化しない。
加齢により、明順応や暗順応の速度は遅くなります。網膜や瞳孔反射の機能低下が原因です。この選択肢は誤りです。 - 筋量は下肢より上肢の方が減少する。
加齢による筋量の減少(サルコペニア)は、下肢の方が上肢よりも顕著です。これは、下肢筋肉が体重支持や移動に大きく関与しているためです。この選択肢は誤りです。 - 低音域より高音域が聞こえにくくなる。
加齢性難聴では、高音域から聴力低下が始まるのが特徴です。内耳の蝸牛基底部が高音域を感受するため、この部位の機能低下が原因となります。この選択肢が正解です。
ワンポイントアドバイス
加齢に伴う生理的変化は、視覚・聴覚・筋力などさまざまな領域で発生します。聴覚に関しては、加齢性難聴で高音域が聞こえにくくなる点を覚え、視覚や筋力の変化と区別して理解しておきましょう。また、免疫機能や内分泌系の変化についても整理しておくと試験対策に有効です。