第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題14

図のようなハンドリングを実施することで運動発達促進効果として期待されるのはどれか。

  1. Galant反射の抑制
  2. 下肢のキッキング促通
  3. 正中位指向の促進
  4. 体幹伸展筋の促通
  5. 頭部回旋運動の促通

解答解説

正解は3.正中位指向の促進です。

図のハンドリングでは、赤ちゃんの両腕を体の正中線上に引き寄せた姿勢を保持しています。このポジショニングは、運動発達において重要な正中位指向(身体の左右対称性を意識し、動作をコントロールすること)の促進につながります。特に、乳児期の正中位指向は、のちの手を使った操作活動や体幹の安定性に重要な役割を果たします。

選択肢の解説

  1. Galant反射の抑制
    Galant反射は背部を刺激することで体幹が側屈する反応です。今回のハンドリングでは背部を刺激していないため、この反射の抑制とは関係がありません。この選択肢は誤りです。
  2. 下肢のキッキング促通
    キッキング(脚を蹴り上げる動作)は下肢の運動発達に関連しますが、図では下肢に直接的な介入を行っていません。下肢の運動促進を目的とした姿勢ではないため、この選択肢は誤りです。
  3. 正中位指向の促進
    両腕を正中線に近づけた姿勢は、赤ちゃんが身体の中心を意識しやすくするため、正中位指向を促します。この姿勢は乳児期に非常に重要であり、体幹の安定性や手の使用につながります。この選択肢が正解です。
  4. 体幹伸展筋の促通
    体幹伸展筋の促通には、背部を伸展させるような姿勢が必要です。図では赤ちゃんの体幹が丸まっており、体幹の伸展筋を直接的に促通する姿勢ではありません。この選択肢は誤りです。
  5. 頭部回旋運動の促通
    頭部回旋運動を促通するには、赤ちゃんの頭部を回旋させる姿勢や動作を導く必要があります。図では頭部を安定させ、回旋運動は行っていないため、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

正中位指向は乳児期の発達において重要なテーマです。体の中心を意識することで、手を使った操作や左右対称の動作が発達します。このようなハンドリングは、生後数か月の赤ちゃんに特に有効です。介助の際には、手足を体の中央に寄せ、体幹の安定性をサポートすることを意識しましょう。