第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題33

肘部管症候群の所見で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 小指球の筋萎縮
  2. 示指のしびれ感
  3. Tinel徴候陰性
  4. Froment徴候陽性
  5. Phalenテスト陽性

解答解説

正解は1.小指球の筋萎縮4.Froment徴候陽性です。
肘部管症候群は、尺骨神経が肘部で圧迫されることで発生する疾患です。この神経支配領域である小指や環指、小指球筋群に異常がみられるのが特徴です。また、Froment徴候陽性は尺骨神経麻痺による母指内転筋の筋力低下を示す徴候であり、肘部管症候群の重要な診断所見です。

各選択肢の解説

  1. 小指球の筋萎縮
    正解。尺骨神経支配の小指球筋(短小指外転筋、短掌筋、小指対立筋)に筋萎縮がみられることが肘部管症候群の典型的な所見です。
  2. 示指のしびれ感
    誤り。示指の感覚は正中神経支配であり、肘部管症候群では障害されません。尺骨神経支配の小指や環指のしびれが特徴です。
  3. Tinel徴候陰性
    誤り。Tinel徴候は、肘部を軽く叩いたときに尺骨神経領域に放散痛やしびれを誘発する徴候であり、陽性となることが多いです。
  4. Froment徴候陽性
    正解。Froment徴候は、母指内転筋(尺骨神経支配)の筋力低下により、紙をつまむ際に母指IP関節が屈曲する現象を指します。これは肘部管症候群の特徴的な所見です。
  5. Phalenテスト陽性
    誤り。Phalenテストは正中神経障害(手根管症候群)の評価法であり、肘部管症候群とは関係がありません。

ワンポイントアドバイス

肘部管症候群では、尺骨神経支配領域(小指や環指)のしびれや筋萎縮が特徴です。Tinel徴候やFroment徴候が診断に役立ちます。一方で、Phalenテストや示指の感覚異常は正中神経障害に関連するため、混同しないように整理して覚えておきましょう。