第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題9

44歳の女性。1か月前から腰痛および左下肢痛を訴える。腰椎MRIの矢状断像(別冊No. 3A)と水平断像(別冊No. 3B)とを別に示す。なお、水平断像は矢状断像で最も所見がある椎体間の高位のものである。この患者にみられる所見はどれか。

  1. 左下内側の感覚障害
  2. 左足部の感覚障害
  3. 左大腿四頭筋の筋力低下
  4. 右下外側の感覚障害
  5. 右長母指伸筋の筋力低下

解答解説

正解は2.左足部の感覚障害です。

MRI画像では、L5/S1椎間で左側に突出した椎間板ヘルニアが確認されます。このヘルニアは、神経根を圧迫し、左L5神経の支配領域で感覚障害が生じます。L5神経は足背の感覚に関与しており、症状として左足部の感覚障害が認められるのが特徴です。

選択肢の解説

  1. 左下内側の感覚障害
    下内側(膝内側)の感覚はL4神経の支配です。L5/S1ヘルニアではL4神経は通常影響を受けないため、この選択肢は誤りです。
  2. 左足部の感覚障害
    足背や第1-2趾間の感覚はL5神経が支配します。画像で確認されるL5/S1の左側椎間板ヘルニアはL5神経を圧迫し、左足部の感覚障害を引き起こします。この選択肢が正解です。
  3. 左大腿四頭筋の筋力低下
    大腿四頭筋の筋力はL4神経が支配します。L5/S1ヘルニアではL4神経には影響が及ばないため、大腿四頭筋の筋力低下は起こりません。この選択肢は誤りです。
  4. 右下外側の感覚障害
    右下外側(外果周辺)の感覚はS1神経の支配ですが、今回のMRIでは左側のL5神経が圧迫されているため、このような右側の症状は見られません。この選択肢は誤りです。
  5. 右長母指伸筋の筋力低下
    長母指伸筋の筋力低下はL5神経障害で生じますが、今回のMRIでは左側の神経が圧迫されているため、右側の筋力低下は起こりません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

椎間板ヘルニアでは、圧迫される神経根の支配領域を正確に把握することが重要です。L5神経は足背の感覚と母趾背屈(長母指伸筋)に関与します。一方、S1神経は足底の感覚と足関節底屈(腓腹筋)に関与します。画像所見と神経症状を結び付ける練習をしておきましょう。