第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題93

糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。

  1. 食後すぐに運動を開始する。
  2. 冷汗は高血糖発作の予兆である。
  3. インスリン投与中は運動療法を中止する。
  4. 空腹時血糖値が高いほど運動量を増やす。
  5. 増殖性網膜症がある場合には運動強度を軽くする。

解答解説

正解は5です。

糖尿病の合併症である増殖性網膜症がある場合、激しい運動は網膜剥離や硝子体出血のリスクを高めるため、運動の強度を軽くする必要があります。 特に、血圧が急上昇するような運動(重量挙げなど)は避けるべきです。

選択肢の解説

  1. 食後すぐに運動を開始する。
    誤りです。 運動は食後1~2時間後に開始するのが推奨されています。食後すぐに運動すると、低血糖を引き起こすリスクが高まります。
  2. 冷汗は高血糖発作の予兆である。
    誤りです。 冷汗は低血糖の症状であり、高血糖発作とは関係ありません。低血糖時には冷汗のほか、動悸やふるえなども見られます。
  3. インスリン投与中は運動療法を中止する。
    誤りです。 インスリンを使用している患者でも、適切な運動療法は血糖コントロールに有効です。ただし、運動前に低血糖のリスクを考慮し、インスリン投与量や補食を調整する必要があります。
  4. 空腹時血糖値が高いほど運動量を増やす。
    誤りです。 空腹時血糖値が300mg/dL以上の場合、運動は禁忌とされています。これは運動によりさらに血糖が上昇し、ケトアシドーシスを引き起こすリスクがあるためです。
  5. 増殖性網膜症がある場合には運動強度を軽くする。
    正しい記述です。 増殖性網膜症を合併している患者は、激しい運動を避け、軽い運動を行うよう指導されます。これにより網膜出血や剥離のリスクを減らします。

ワンポイントアドバイス

糖尿病の運動療法では、運動のタイミング(食後1~2時間)、血糖値の管理(空腹時300mg/dL以上では禁忌)、合併症(網膜症や腎症)の重症度に応じた調整が重要です。特に、低血糖や網膜症の管理に注意を払う必要があります。