不動による廃用症候群で生じやすい病態を選びなさい。
- 安静時心拍数の低下
- 間質性肺疾患
- 自律神経過反射
- 深部静脈血栓
- 低カルシウム血症
解答解説
正解は 4.深部静脈血栓 です。
不動による廃用症候群は、長期間の安静や身体活動の制限により筋力、循環機能、骨密度などが低下し、様々な合併症を引き起こします。その中で深部静脈血栓(DVT)は、不動による血流停滞や筋ポンプ機能の低下が原因で生じやすい代表的な病態です。以下、各選択肢について解説します。
各選択肢の解説
- 安静時心拍数の低下
不動により心肺機能が低下すると、安静時心拍数はむしろ増加します。運動不足により心拍出量が低下するため、必要な血流を維持するために心拍数が上昇するのが一般的です。この選択肢は誤りです。 - 間質性肺疾患
間質性肺疾患は肺の間質に炎症や線維化が起きる疾患群で、原因は特発性や薬剤性、職業曝露などによるものです。不動による廃用症候群と直接の関係はありません。不動による呼吸器系の問題としては、肺炎や低換気が生じることが一般的です。この選択肢は誤りです。 - 自律神経過反射
自律神経過反射は、脊髄損傷(特に胸髄T6以上)の患者で見られる病態で、廃用症候群そのものとは関連しません。不動による影響としては、むしろ自律神経機能の低下が生じやすいです。この選択肢は誤りです。 - 深部静脈血栓(正解)
不動により下肢の筋ポンプ機能が低下し、血流が停滞することで深部静脈血栓(DVT)が発生しやすくなります。DVTは、静脈に血栓が形成される状態で、肺塞栓症のリスクを伴います。これを予防するために、早期離床、弾性ストッキングの着用、足関節の運動などが推奨されます。この選択肢が正しいです。 - 低カルシウム血症
不動による廃用症候群では骨吸収が亢進し、骨から血中へカルシウムが放出されることで高カルシウム血症が生じることがあります。低カルシウム血症はむしろ対照的な状態であり、この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
廃用症候群の代表的な病態として、深部静脈血栓(DVT)、筋力低下(サルコペニア)、骨密度減少(骨粗鬆症)、関節拘縮、肺炎などが挙げられます。リハビリテーションの目的は、これらの合併症を予防・軽減することです。特にDVTは命に関わる合併症につながるため、予防的な介入(早期離床や運動)を理解しておきましょう。