第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題62

交感神経の節前線維で直接支配されるのはどれか。

  1. 肝臓
  2. 心臓
  3. 気管支
  4. 唾液腺
  5. 副腎髄質

解答解説

正解は「5」です。

副腎髄質は、交感神経系の特殊な構造を持ち、節前線維によって直接支配されます。通常、交感神経は節前線維と節後線維に分かれ、節前線維は交感神経節で節後線維とシナプスを形成します。しかし、副腎髄質の場合、節後線維が存在せず、節前線維が副腎髄質のクロム親和性細胞に直接接続します。これにより、副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。

選択肢ごとの解説

  1. 肝臓
    肝臓は交感神経の節後線維によって支配され、代謝調節(グリコーゲン分解など)を行います。節前線維が直接関与するわけではありません。
  2. 心臓
    心臓も交感神経の節後線維が心筋に作用し、心拍数や収縮力を調節します。
  3. 気管支
    気管支の拡張も交感神経の節後線維によって制御されます。節前線維は交感神経節で節後線維とシナプスを形成します。
  4. 唾液腺
    唾液腺も交感神経の節後線維によって支配され、粘稠性の唾液分泌を調節します。
  5. 副腎髄質
    正解です。 副腎髄質は交感神経の節前線維によって直接支配され、アドレナリンやノルアドレナリンを血中に放出します。これは他の臓器にはない特異的な構造です。

ワンポイントアドバイス

副腎髄質は交感神経系の一部であり、節前線維による直接的な支配を受ける特殊な臓器です。交感神経系の一般的な経路(節前線維→神経節→節後線維→効果器)と、副腎髄質の特殊経路を区別して覚えておきましょう。