第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題88

免疫不全によって生じやすい疾患はどれか。

  1. 肝性脳症
  2. ペラグラ脳症
  3. Wernicke脳症
  4. トキソプラズマ症
  5. Creutzfeldt-Jakob病

解答解説

正解は4です。

トキソプラズマ症は免疫不全状態、特にHIV感染や免疫抑制剤の使用による免疫機能低下時に発症しやすい疾患です。 この疾患はトキソプラズマ(寄生虫)による感染症で、特に脳への病変を伴う脳トキソプラズマ症として現れることがあります。

選択肢の解説

  1. 肝性脳症
    誤りです。 肝性脳症は肝臓の解毒機能の低下によって起こる疾患であり、免疫不全とは直接的な関連がありません。
  2. ペラグラ脳症
    誤りです。 ペラグラ脳症はニコチン酸(ビタミンB3)欠乏が原因で発症します。栄養不良が主因であり、免疫不全が直接関与するものではありません。
  3. Wernicke脳症
    誤りです。 Wernicke脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏による疾患であり、免疫不全との関係はありません。
  4. トキソプラズマ症
    正しい記述です。 トキソプラズマ症は寄生虫感染症で、免疫不全状態(HIV/AIDSや免疫抑制療法)にある患者で特に発症リスクが高まります。中枢神経系に感染が波及すると脳トキソプラズマ症を引き起こします。
  5. Creutzfeldt-Jakob病
    誤りです。 Creutzfeldt-Jakob病はプリオン病の一種であり、免疫不全が原因で発症するものではありません。プリオンが中枢神経を変性させることで起こります。

ワンポイントアドバイス

免疫不全状態では、日和見感染が起こりやすくなります。トキソプラズマ症以外にも、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ症などが免疫不全時にリスクが高まる疾患として挙げられます。これらの疾患の特徴を理解しておくことが重要です。