第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題82

運動制御における小脳の役割で正しいのはどれか。

  1. 一連の動作の企画
  2. 運動プランの切り替え
  3. 記憶に基づく運動の修飾
  4. 視覚情報を運動指令に変換
  5. 自発的な行為のプログラミング

解答解説

正解は3です。

小脳は記憶に基づいて運動を修飾し、運動の精緻化や適応を担います。 運動学習やタイミング調整、体のバランス維持において重要な役割を果たします。

選択肢の解説

  1. 一連の動作の企画
    誤りです。 一連の動作の企画は大脳皮質(特に前頭葉の補足運動野や前運動野)の役割です。小脳は運動企画ではなく、運動の修飾を担当します。
  2. 運動プランの切り替え
    誤りです。 運動プランの切り替えは、大脳基底核(特に線条体や淡蒼球)の役割が主であり、小脳の直接的な機能ではありません。
  3. 記憶に基づく運動の修飾
    正しい記述です。 小脳は、過去の運動経験(記憶)を基に運動を微調整し、スムーズで正確な動作を実現します。運動学習や誤差修正の中心的な役割を担います。
  4. 視覚情報を運動指令に変換
    誤りです。 視覚情報を運動指令に変換するのは大脳皮質(特に後頭葉視覚野と前頭葉運動野)の役割です。
  5. 自発的な行為のプログラミング
    誤りです。 自発的な行為のプログラミングは、大脳皮質(特に前頭前野や運動前野)が担います。小脳の主な役割は運動の修飾とタイミングの調整です。

ワンポイントアドバイス

小脳の役割は、運動の調整、タイミングの最適化、運動学習などが中心です。一方、大脳皮質や基底核が運動企画や指令発信を担うことを理解し、両者の役割分担を明確に覚えておくと、運動制御に関する問題に対応しやすくなります。