第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題1

36歳の男性。交通事故による外傷性脳損傷のため3日前に入院した。病室訪問時、呼びかけても開眼しておらず、大きな声で呼びかけたが開眼せず、体を揺さぶって初めて開眼したがすぐに閉眼してしまう。JCS(Japan coma scale)で評価した意識レベルはどれか。

  1. II-10
  2. II-20
  3. II-30
  4. III-100
  5. III-200

解答解説

正解は2. II-20です。

解説

JCS(Japan Coma Scale)は、日本で広く使用される意識レベルの評価尺度です。本問題では、患者は「体を揺さぶる強い刺激で初めて開眼するが、すぐに閉眼」する状態が示されています。この場合、JCS基準では以下のように分類されます。

  • II-10:普通の呼びかけで容易に開眼する状態
  • II-20:大きな声または体を揺さぶるなどの強い刺激で開眼する状態
  • II-30:痛み刺激でようやく開眼する状態

この患者の場合、体を揺さぶる刺激で開眼するため、II-20が適切です。

その他の選択肢

  1. II-10
    普通の呼びかけで容易に開眼する場合を指しますが、本症例では体を揺さぶる必要があるため不正解です。
  2. II-30
    痛み刺激で開眼する状態を指します。本症例では痛み刺激まで至らず、揺さぶる刺激で開眼しているため不正解です。
  3. III-100
    刺激に対して全く反応がないが、生命維持に必要な自発的運動がある状態を指します。本症例では刺激で開眼しているため不正解です。
  4. III-200
    刺激に対して全く反応がなく、自発的運動も見られない状態を指します。本症例とは異なるため不正解です。

ワンポイントアドバイス

JCSの分類では、「呼びかけ」、「揺さぶり」、「痛み刺激」の3段階の刺激強度が評価の基準になります。それぞれの刺激に対する反応を正確に分類できるよう、JCSの区分を暗記しておきましょう。特にII(刺激で開眼するレベル)とIII(刺激に反応しないレベル)を混同しないように注意してください。