第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題77

熱傷について正しいのはどれか。

  1. 第Ⅰ度熱傷では熱感はみられない。
  2. 浅達性第Ⅱ度熱傷では瘢痕を残す。
  3. 深達性第Ⅱ度熱傷の水疱底は発赤している。
  4. 第Ⅲ度熱傷では疼痛が著明である。
  5. 鼻腔粘膜に煤が見られたときは気道熱傷が疑われる。

解答解説

正解は5です。

鼻腔粘膜に煤(すす)が見られる場合、熱気や煙の吸入により気道熱傷が発生している可能性があります。 気道熱傷は、気道閉塞や呼吸困難を引き起こす重篤な状態になるため、早期の診断と治療が必要です。

各選択肢の解説

  1. 第Ⅰ度熱傷では熱感はみられない。
    第Ⅰ度熱傷(表皮のみの損傷)では、皮膚が赤くなり(発赤)、熱感や軽い疼痛が一般的にみられます。この記述は誤りです。
  2. 浅達性第Ⅱ度熱傷では瘢痕を残す。
    浅達性第Ⅱ度熱傷(真皮浅層の損傷)は、水疱が形成されますが、適切に治療されれば瘢痕を残さないことが多いです。この記述は誤りです。
  3. 深達性第Ⅱ度熱傷の水疱底は発赤している。
    深達性第Ⅱ度熱傷(真皮深層の損傷)では、水疱底が白っぽくなることが特徴です。発赤は浅達性第Ⅱ度熱傷でみられるため、この記述は誤りです。
  4. 第Ⅲ度熱傷では疼痛が著明である。
    第Ⅲ度熱傷(皮下組織までの損傷)では、神経が損傷するため疼痛が軽減または消失します。この記述は誤りです。
  5. 鼻腔粘膜に煤が見られたときは気道熱傷が疑われる。
    鼻腔内の煤やすすの付着、喉頭浮腫、嗄声(させい)などは、熱傷による気道損傷を示唆する重要な所見です。この場合、気道管理が必要になるため正解です。

ワンポイントアドバイス

熱傷の深度や特徴を正確に理解することは、治療の優先度を決める上で重要です。特に気道熱傷は生命に関わる緊急事態であり、鼻腔内の煤、呼吸困難、嗄声、咽頭痛などの兆候を見逃さないことが重要です。