45歳の男性。半年前から左上肢遠位部の脱力、3か月前から左上肢の筋萎縮と右上肢の脱力、さらに最近歩行障害と構音障害を認めるようになり、神経内科で筋萎縮性側索硬化症と診断された。現時点で認められる可能性が高いのはどれか。
- 痙縮
- 振動覚低下
- 眼球運動障害
- 膀胱直腸障害
- Hoffmann反射陽性
解答解説
正解は5. Hoffmann反射陽性です。
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの双方が障害される神経変性疾患です。患者は筋力低下、筋萎縮、痙攣、構音障害などを示し、病状が進行します。この問題では、現時点でALSに関連する典型的な徴候が問われています。
- Hoffmann反射陽性は、上位運動ニューロン障害に関連する病的反射の1つです。ALSでは上位運動ニューロンの障害があるため、Hoffmann反射が陽性になる可能性が高いと考えられます。このため正解です。
その他の選択肢
- 痙縮
ALSでは、進行に伴って上位運動ニューロン障害による痙縮が認められることがありますが、病期の初期段階では必ずしも目立たない場合があります。不正解です。 - 振動覚低下
振動覚低下は感覚神経障害を示しますが、ALSは感覚神経が保たれるため、この症状は認められません。不正解です。 - 眼球運動障害
ALSでは眼球運動は保たれるのが特徴であり、この症状はALSの所見には当てはまりません。不正解です。 - 膀胱直腸障害
ALSでは膀胱直腸機能は通常保たれます。この症状はALSとは関連がないため、不正解です。
ワンポイントアドバイス
ALSの特徴として、運動ニューロン障害が中核であるが、感覚障害や膀胱直腸障害は起こらないことを押さえましょう。また、Hoffmann反射やBabinski反射などの病的反射は、上位運動ニューロン障害の徴候として頻出です。問題を解く際は、ALSの病態の中で現れやすい徴候に焦点を当てて考えるようにしましょう。