第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題63

運動単位について正しいのはどれか。

  1. 運動単位には求心性線維が含まれる。
  2. 1つの筋は単一の運動単位で構成される。
  3. 神経支配比が小さいほど微細な運動ができる。
  4. 随意運動時には大きな運動単位ほど先に活動を始める。
  5. 伸張反射では弱い刺激で活動を開始するのは速筋である。

解答解説

正解は3です。

神経支配比が小さい(1つの運動ニューロンが支配する筋線維の数が少ない)ほど、微細で精密な運動が可能になります。例えば、手や顔の筋肉では神経支配比が小さく、繊細な運動が可能です。

選択肢の解説

  1. 運動単位には求心性線維が含まれる。
    誤りです。 運動単位は1つの運動ニューロンとそれに支配される筋線維の集合体を指します。求心性線維は含まれず、遠心性線維(運動ニューロンの軸索)が含まれます。
  2. 1つの筋は単一の運動単位で構成される。
    誤りです。 1つの筋は複数の運動単位から構成されています。それぞれの運動単位が協調して筋全体の収縮を作り出します。
  3. 神経支配比が小さいほど微細な運動ができる。
    正しい記述です。 例えば、眼球運動を司る筋肉は1つの運動ニューロンが数十本程度の筋線維を支配し、非常に繊細な運動が可能です。一方、大腿四頭筋などでは1つの運動ニューロンが数百~数千の筋線維を支配します。
  4. 随意運動時には大きな運動単位ほど先に活動を始める。
    誤りです。 随意運動時には、小さな運動単位(細い軸索を持つ運動ニューロン)が先に活動を始め、強い収縮が必要になるにつれて大きな運動単位が動員される「サイズの原理」があります。
  5. 伸張反射では弱い刺激で活動を開始するのは速筋である。
    誤りです。 伸張反射では弱い刺激で活動を開始するのは遅筋です。速筋は強い刺激で動員される傾向があります。

ワンポイントアドバイス

運動単位に関する問題では、神経支配比(運動ニューロンと筋線維の比率)やサイズの原理(小→大の順に運動単位が動員される)が重要なテーマです。精密な運動と大まかな運動の違いを理解しておくと応用力が高まります。