第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題59

平衡聴覚器で正しいのはどれか。

  1. 耳石器は鼓室にある。
  2. 蝸牛神経は耳管を通る。
  3. 半規管は角加速度を知覚する。
  4. アブミ骨筋は前庭神経に支配される。
  5. 内耳道は内リンパ液で満たされている。

解答解説

正解は「3」です。

半規管は内耳の一部であり、回転運動による角加速度を感知する役割を担っています。三つの半規管(前半規管、後半規管、外側半規管)は互いに直交して配置され、頭部の回転を感知する平衡感覚器官です。他の選択肢は誤りです。

選択肢ごとの解説

  1. 耳石器は鼓室にある。
    誤りです。耳石器(卵形嚢と球形嚢)は内耳の前庭に存在し、直線加速度や重力を感知します。鼓室(中耳)にはありません。
  2. 蝸牛神経は耳管を通る。
    誤りです。蝸牛神経は内耳道を通ります。耳管は中耳と咽頭を結ぶ管で、神経の通路ではありません。
  3. 半規管は角加速度を知覚する。
    正解です。 半規管は角加速度を感知し、頭部の回転運動に対応します。内耳にある平衡感覚の中枢的な役割を果たします。
  4. アブミ骨筋は前庭神経に支配される。
    誤りです。アブミ骨筋は顔面神経(第7脳神経)に支配されます。前庭神経は平衡感覚を担当する神経です。
  5. 内耳道は内リンパ液で満たされている。
    誤りです。内耳道自体は内リンパ液ではなく、前庭神経や蝸牛神経などの神経が通ります。内リンパ液は内耳迷路(蝸牛や前庭)を満たしていますが、内耳道そのものは違います。

ワンポイントアドバイス

平衡感覚は半規管(角加速度)と耳石器(直線加速度・重力)によって構成されています。「半規管が角加速度を感知する」という重要ポイントを正確に理解し、聴覚と平衡感覚の違いも押さえておきましょう。