17歳の女子。サッカー中に右足関節外側靱帯損傷と診断され、安静目的に10日間の固定後、短下肢装具を着用して理学療法を開始した。正しいのはどれか。
- 足関節周囲筋のストレッチを行う。
- 歩行練習は圧痛が改善してから開始する。
- 装具はできる限り早く外すように指導する。
- バランストレーニングは開眼片脚起立から開始する。
- 筋力トレーニングは閉鎖性運動連鎖〈CKC:closed kinetic chain〉から開始する。
解答解説
正解は 1. 足関節周囲筋のストレッチを行う です。
足関節外側靱帯損傷の急性期を過ぎた患者では、適切なストレッチングが関節可動域の回復や筋緊張の緩和に重要です。足関節周囲の筋肉(特に腓骨筋群や下腿三頭筋)の柔軟性を高めることで、可動域の改善や再発予防が期待できます。
各選択肢の解説
- 足関節周囲筋のストレッチを行う(正解)
損傷の治癒が進み、理学療法を開始する段階では、ストレッチが足関節の柔軟性回復や可動域の改善に効果的です。ただし、過剰な伸展は靱帯に負担をかけるため、無理のない範囲で行う必要があります。この選択肢が正解です。 - 歩行練習は圧痛が改善してから開始する
圧痛が完全に消失するのを待つ必要はありません。装具を着用し、関節を保護しながら安全に歩行練習を開始するのが適切です。この選択肢は誤りです。 - 装具はできる限り早く外すように指導する
装具は関節を保護し、再損傷を予防する役割があります。靱帯の回復が十分でない段階で装具を外すことはリスクを伴うため、指導として不適切です。この選択肢は誤りです。 - バランストレーニングは開眼片脚起立から開始する
バランストレーニングは重要ですが、初期段階では難易度が高すぎる可能性があります。まずは装具を着用した両脚支持や軽い動作から始めるのが一般的です。この選択肢は誤りです。 - 筋力トレーニングは閉鎖性運動連鎖〈CKC〉から開始する
CKCは足関節の安定性を高める優れたトレーニング法ですが、固定解除直後の段階では負担が大きい可能性があります。まずは筋力低下を防ぐ軽い運動から始めるべきです。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
足関節外側靱帯損傷のリハビリテーションは、段階的に行うことが重要です。ストレッチは早期から導入可能であり、関節可動域や柔軟性を改善する効果があります。その後、筋力トレーニングやバランストレーニングを進めることで、関節の安定性を回復させ、再発を予防します。