第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題45

外傷性の前頭葉損傷による高次脳機能障害の患者に対する動作指導として適切なのはどれか。

  1. 床からの起き上がりは、起き上がる方向を次々と変えながら練習する。
  2. 歩行では、股・膝・足関節の運動に同時に注意を払うよう指導する。
  3. 車椅子操作は、手順を1つずつ確認しながら進めるよう指導する。
  4. 動作の手順を間違えた場合は、自分で気付くまで指摘しない。
  5. 更衣動作では、上衣と下衣を交互に練習する。

解答解説

正解は3. 車椅子操作は、手順を1つずつ確認しながら進めるよう指導するです。

解説

高次脳機能障害、とりわけ前頭葉損傷の患者では、遂行機能障害(計画立案や手順の実行の困難)が見られることがあります。そのため、1つずつの動作や手順を確認しながら進める方法が適切です。

各選択肢の解説:

  1. 床からの起き上がりは、起き上がる方向を次々と変えながら練習する
    遂行機能障害の患者には、同じ動作を繰り返して覚えさせることが重要です。方向を変える練習は混乱を招くため不適切です。
  2. 歩行では、股・膝・足関節の運動に同時に注意を払うよう指導する
    高次脳機能障害の患者は複数の動作を同時に行うことが困難な場合が多いです。一つずつ段階的に練習させることが必要です。
  3. 車椅子操作は、手順を1つずつ確認しながら進めるよう指導する
    遂行機能障害を持つ患者には、動作の手順を明確にし、一つずつ確認して進める方法が適切です。
  4. 動作の手順を間違えた場合は、自分で気付くまで指摘しない
    高次脳機能障害の患者では、自分で誤りに気づくのが難しいため、間違いを即時に指摘して適切な動作に修正することが大切です。
  5. 更衣動作では、上衣と下衣を交互に練習する
    遂行機能障害の患者には、動作の一貫性が重要です。上衣と下衣を交互に練習させるのは混乱を招く可能性があります。

ワンポイントアドバイス

高次脳機能障害の患者に対する動作指導では、「分かりやすい手順」「反復練習」「成功体験の積み重ね」が重要です。特に、前頭葉損傷では計画や順序立てが難しいため、焦らず一つずつ指導することを心がけましょう。