慢性閉塞性肺疾患の身体所見でみられやすいのはどれか。
- 乾性咳嗽
- 呼吸音低下
- 肺野打診での濁音
- 胸郭柔軟性の増加
- 胸部聴診での捻髪音
解答解説
正解は2. 呼吸音低下です。
解説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気流制限を伴う疾患で、特に肺の過膨張が原因で呼吸音が低下するのが特徴的です。COPDでは慢性気管支炎や肺気腫が含まれることが多く、肺胞の弾性収縮力が低下するために呼吸音が減弱します。
COPDでよく見られる身体所見
- 呼吸音低下:肺過膨張による聴診所見。
- 呼気延長:呼吸音が長くなり、特に呼気相が延長します。
- 樽状胸:胸郭の形状が樽のように膨らむ。
- 打診で過共鳴音:肺の過膨張による所見。
各選択肢の解説
- 乾性咳嗽
COPDでは咳嗽が見られることがありますが、慢性的な痰を伴う湿性咳嗽が主で、乾性咳嗽は稀です。
→ 不適切 - 呼吸音低下
肺気腫による過膨張で聴診音が低下します。COPDで典型的な所見です。
→ 正解 - 肺野打診での濁音
COPDではむしろ過膨張のため過共鳴音が聞かれることが多く、濁音は胸水貯留や肺炎に見られます。
→ 不適切 - 胸郭柔軟性の増加
COPDでは肺過膨張に伴い胸郭が硬くなり、柔軟性はむしろ低下します。
→ 不適切 - 胸部聴診での捻髪音
捻髪音(fine crackles)は間質性肺炎や肺水腫などで見られる所見で、COPDでは少ないです。
→ 不適切
ワンポイントアドバイス
COPDの特徴的な所見は、肺の過膨張が原因で現れる呼吸音低下や過共鳴音です。身体診察だけでなく、胸部X線やスパイロメトリーによる評価も重要です。肺気腫型では呼吸音の低下が特に顕著になります。