第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題20

この患児の股関節のエックス線単純写真(別冊No.4)を別に示す。行うべき対応として適切なのはどれか。

  1. 牽引療法
  2. ギプス固定
  3. 観血的整復術
  4. オーバーヘッド牽引
  5. リーメンビューゲル装具

解答解説

正解は5. リーメンビューゲル装具です。

解説

提示されたエックス線写真から、乳児期特有の先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)の可能性が考えられます。この疾患では、乳児期早期に適切な整復位を保つことで、関節の正常な発育を促すことが重要です。リーメンビューゲル装具は、股関節を外転・屈曲位に保つために用いられる治療法で、非観血的に整復を促す初期対応として適しています。

各選択肢の評価

  1. 牽引療法
    牽引療法は、骨折の整復などで用いられますが、乳児の股関節形成不全の初期対応としては適切ではありません。不正解です。
  2. ギプス固定
    ギプス固定は、整復後の固定として使われる場合がありますが、乳児への初期治療としては推奨されません。不正解です。
  3. 観血的整復術
    観血的整復術は非観血的治療が無効であった場合に検討されますが、初期対応としては適しません。不正解です。
  4. オーバーヘッド牽引
    オーバーヘッド牽引は股関節疾患の一部で用いることがありますが、乳児への初期治療としては通常選択されません。不正解です。
  5. リーメンビューゲル装具
    非観血的な整復を目的として広く使用されている装具で、初期治療として非常に適切です。正解です。

ワンポイントアドバイス

先天性股関節脱臼や発育性股関節形成不全では、早期の診断と治療が関節の正常発育において重要です。リーメンビューゲル装具やパブリックハーネスなど、非観血的な方法の特徴を押さえ、対応方法を明確に覚えておきましょう。