第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題39

温熱の局所反応で正しいのはどれか。

  1. 加温によって血液の粘性が増加する。
  2. Aδ 線維が C 線維よりも温度変化の影響を受けやすい。
  3. 組織温度が 1 ℃上昇すると代謝率は 2 ~ 3 倍に増加する。
  4. 反射性血管拡張作用は加温部位の循環が増加する現象である。
  5. 組織温度が 1 ℃上昇すると神経伝導速度は 0.2 m/sec 増加する。

解答解説

正解は2. Aδ 線維が C 線維よりも温度変化の影響を受けやすいです。

Aδ線維は急性の冷痛や熱痛を伝達する神経であり、C線維に比べて温度変化に敏感です。他の選択肢は正確な記述ではありません。

各選択肢の解説

  1. 加温によって血液の粘性が増加する。
    この選択肢は誤りです。
    加温により血液の粘性は低下し、血流が促進されます。
  2. Aδ線維がC線維よりも温度変化の影響を受けやすい。
    この選択肢が正解です。
    Aδ線維は急性の冷痛や熱痛に反応し、C線維よりも温度変化の影響を受けやすいです。
  3. 組織温度が1℃上昇すると代謝率は2~3倍に増加する。
    この選択肢は誤りです。
    代謝率の増加は10℃の上昇で約2~3倍とされ、1℃の上昇ではごくわずかです。
  4. 反射性血管拡張作用は加温部位の循環が増加する現象である。
    この選択肢は誤りです。
    反射性血管拡張は加温部位以外の循環増加を指し、加温部位そのものではありません。
  5. 組織温度が1℃上昇すると神経伝導速度は0.2 m/sec増加する。
    この選択肢は誤りです。
    神経伝導速度は1℃の温度上昇で約1.5~2.5 m/sec増加します。

ワンポイントアドバイス

温熱療法では、局所反応として血流促進、代謝の増加、神経伝導速度の向上が起こります。神経線維の反応性や代謝率の変化を正確に理解し、温熱療法の適切な適用を行うための知識を深めましょう。