第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題35

広範囲Ⅲ度熱傷の受傷後12時間以内に生じやすいのはどれか。

  1. 集中治療室獲得性筋力低下〈ICU-AW〉
  2. 骨化性筋炎
  3. 肥厚性瘢痕
  4. 関節拘縮
  5. 浮腫

解答解説

正解は5. 浮腫です。

広範囲Ⅲ度熱傷では、皮膚バリアの喪失により体液が漏出しやすく、受傷後早期に浮腫が生じます。他の選択肢に挙げられている症状は、長期的な経過の中で発生することが多いです。

各選択肢の解説

  1. 集中治療室獲得性筋力低下〈ICU-AW〉
    この選択肢は誤りです。
    ICU-AWは長期入院に伴い発生する筋力低下で、受傷後12時間以内に生じることはありません。
  2. 骨化性筋炎
    この選択肢は誤りです。
    骨化性筋炎は、受傷後数週間から数か月経過して発症することが一般的です。
  3. 肥厚性瘢痕
    この選択肢は誤りです。
    肥厚性瘢痕は、創傷治癒の過程で生じ、数か月から数年後にみられる症状です。
  4. 関節拘縮
    この選択肢は誤りです。
    関節拘縮は、創傷治癒や瘢痕組織の形成後に起こるため、受傷直後には生じません。
  5. 浮腫
    この選択肢が正解です。
    浮腫は、受傷後の急性期に体液漏出によって発生しやすい症状です。

ワンポイントアドバイス

熱傷の急性期には、体液漏出や感染リスクが高まります。浮腫やショック状態の管理が最優先されるため、受傷直後から適切な輸液や創傷管理が必要です。時間経過による症状の変化を把握し、対応を段階的に考えることが重要です。