第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題36

高次脳機能障害と症候の組合せで正しいのはどれか。

  1. 観念失行 – 敬礼など単純な口頭指示に従った動作ができない。
  2. 純粋失読 – 文字を指でなぞっても読めない。
  3. 伝導失語 – 物品呼称ができない。
  4. 観念運動失行 – 適切に道具を使用できない。
  5. 肢節運動失行 – 習熟した行為の遂行が拙劣になる。

解答解説

正解は5. 肢節運動失行 – 習熟した行為の遂行が拙劣になるです。
肢節運動失行は、運動に必要な筋力や協調性は保たれているものの、複雑な動作や習熟した行為をスムーズに行えなくなる障害です。他の選択肢に挙げられている症候の記述は、定義が誤っています。

各選択肢の解説

  1. 観念失行 – 敬礼など単純な口頭指示に従った動作ができない
    この選択肢は誤りです。
    観念失行は、動作の一連の流れを理解できず、道具の使用や複数の動作を組み合わせた行為が困難になる症候です。
  2. 純粋失読 – 文字を指でなぞっても読めない
    この選択肢は誤りです。
    純粋失読では、文字を指でなぞることで読める場合もあります
  3. 伝導失語 – 物品呼称ができない
    この選択肢は誤りです。
    伝導失語では物品呼称は可能ですが、復唱に困難を伴うのが特徴です。
  4. 観念運動失行 – 適切に道具を使用できない
    この選択肢は誤りです。
    観念運動失行では、道具使用の問題ではなく、模倣動作や指示された単純な動作の遂行に困難をきたします。
  5. 肢節運動失行 – 習熟した行為の遂行が拙劣になる
    この選択肢が正解です。
    肢節運動失行では、運動機能が保たれていても、複雑な動作の遂行が困難です。

ワンポイントアドバイス

高次脳機能障害の各症候では、失語、失行、失認などの定義を正確に理解することが大切です。たとえば、観念失行は複数の動作を統合的に行う際に障害が出やすいのに対し、観念運動失行は単一の動作に問題が生じます。症候の違いを具体例とともに覚えると、試験での混同を防げます。