第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題34

Duchenne型筋ジストロフィーで正しいのはどれか。

  1. 知的障害はまれである。
  2. 筋萎縮は遠位筋から始まる。
  3. 発症初期から関節拘縮が生じやすい。
  4. 5歳ごろまでに歩行不能になることが多い。
  5. 筋力低下が進行すればGowers徴候がみられる。

解答解説

正解は5. 筋力低下が進行すればGowers徴候がみられるです。

Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は、近位筋からの筋力低下が特徴で、進行するとGowers徴候(四肢を用いて体を起こす特徴的な動作)が見られます。知的障害は軽度の場合もあり、遠位筋から始まる筋萎縮や発症初期の関節拘縮はDMDの特徴ではありません。

各選択肢の解説

  1. 知的障害はまれである
    この選択肢は誤りです。
    DMDでは軽度の知的障害が約30%の患者でみられることがあり、「まれ」とは言えません。
  2. 筋萎縮は遠位筋から始まる
    この選択肢は誤りです。
    DMDの筋力低下や萎縮は近位筋から始まり、特に骨盤周囲の筋が初期に影響を受けます。
  3. 発症初期から関節拘縮が生じやすい
    この選択肢は誤りです。
    関節拘縮は病気の進行後期に見られる症状であり、発症初期には生じません。
  4. 5歳ごろまでに歩行不能になることが多い
    この選択肢は誤りです。
    一般的にDMDでは10歳前後で歩行が困難になりますが、5歳ごろでは歩行能力を維持している場合がほとんどです。
  5. 筋力低下が進行すればGowers徴候がみられる
    この選択肢が正解です。
    DMDでは筋力低下が進むにつれ、四肢を使って立ち上がるGowers徴候が観察されます。

ワンポイントアドバイス

DMDは、X連鎖劣性遺伝疾患で、主に男児に発症します。近位筋から筋力低下が始まり、特徴的な歩行障害や立ち上がり動作が進行します。臨床症状や進行パターンを正確に理解し、他の筋疾患との鑑別をできるようにしましょう。