第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題2

心電図波形(別冊No.1)の特徴として正しいのはどれか。

  1. 洞調律である。
  2. 持続頻拍である。
  3. ST 上昇を認める。
  4. 心室期外収縮を認める。
  5. Ⅲ度房室ブロックである。

解答解説

正解は4.心室期外収縮を認めるです。

心電図波形では、通常のQRS波形に加え、QRS波が広く、異常な形状の波形が不規則に現れることが確認できます。この特徴は心室期外収縮(VPC:Ventricular Premature Contraction)に典型的な所見です。心室期外収縮では、異常な興奮が心室で発生し、本来の興奮経路を介さずに心室が収縮するため、QRS波形が広くなることが特徴です。

各選択肢の解説

  1. 洞調律である。
    この選択肢は誤りです。洞調律では、すべてのP波が規則的に現れ、その後に正常なQRS波が続く特徴があります。しかし、この波形では心室期外収縮が認められるため、洞調律ではありません。
  2. 持続頻拍である。
    この選択肢は誤りです。持続頻拍(持続性心室頻拍)は、連続した異常なQRS波形が速いリズムで記録されます。この波形では単発的な心室期外収縮がみられるため、持続頻拍ではありません。
  3. ST上昇を認める。
    この選択肢は誤りです。ST上昇は、心筋梗塞などでSTセグメントが基線より上昇する所見です。この心電図波形ではそのような特徴は認められません。
  4. 心室期外収縮を認める。
    この選択肢が正解です。この波形には通常のQRS波形に混じり、広く異常な形状のQRS波形が不規則に現れる心室期外収縮の特徴が認められます。
  5. Ⅲ度房室ブロックである。
    この選択肢は誤りです。Ⅲ度房室ブロックでは、心房のP波と心室のQRS波が全く連動せず、完全に独立して記録される特徴があります。この波形ではその所見は認められません。

ワンポイントアドバイス

心室期外収縮(VPC)は、通常のリズムの中に早期に出現する広く異常なQRS波がみられることが特徴です。心室期外収縮は健康な人にもみられることがありますが、多発する場合や他の異常を伴う場合は病的原因を考慮する必要があります。早く判断できます。