第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題19

16 歳の女子。バスケットボールの試合中に受傷した。同日病院を受診し、左足関節外側靱帯損傷と診断され、理学療法を行う方針となった。急性期の対応で正しいのはどれか。

  1. 受傷日から患部の安静目的に固定を行う。
  2. 受傷日から積極的に患側足関節の可動域練習を行う。
  3. 受傷日から炎症を抑えるために入浴など血液循環を促す。
  4. 受傷翌日から試合に参加できるよう鎮痛薬を飲むように勧める。
  5. 受傷から 3 日間は常に氷水で冷やし続ける。

解答解説

正解は1. 受傷日から患部の安静目的に固定を行うです。

足関節外側靱帯損傷の急性期(受傷直後から数日間)の対応では、RICE処置(Rest=安静、Ice=冷却、Compression=圧迫、Elevation=挙上)が基本です。患部の固定は靱帯の安静を保ち、さらなる損傷を防ぐために重要です。

各選択肢の解説

  1. 受傷日から患部の安静目的に固定を行う。
    正しい選択肢です。急性期の標準的な対応であり、損傷部位の安静を保ち、炎症を悪化させないようにすることが重要です。
  2. 受傷日から積極的に患側足関節の可動域練習を行う。
    誤りです。急性期では炎症が起こっており、可動域練習は炎症を悪化させる可能性があります。
  3. 受傷日から炎症を抑えるために入浴など血液循環を促す。
    誤りです。入浴などで患部を温めることは、急性期の炎症を悪化させるため不適切です。
  4. 受傷翌日から試合に参加できるよう鎮痛薬を飲むように勧める。
    誤りです。鎮痛薬で痛みを抑えても、患部の治癒が進むわけではありません。再受傷のリスクが高まります。
  5. 受傷から 3 日間は常に氷水で冷やし続ける。
    誤りです。冷却は重要ですが、「常に冷やし続ける」のは適切ではありません。冷却は1回20分程度で行い、間隔を空けて繰り返すことが推奨されます。

ワンポイントアドバイス

足関節外側靱帯損傷の急性期対応では、RICE原則(Rest, Ice, Compression, Elevation)を確実に実施することが重要です。特に安静を保ち、損傷部位を固定することで、治癒を妨げない環境を整えることが優先されます。