68 歳の男性。5 年前に Parkinson 病と診断された。現在、両手に安静時振戦、両側上下肢に中等度の筋強剛を認める。「最近、歩いているときに足が出にくく、バランスを崩して転びそうになることが増えてきた」との訴えがある。日常生活は自立しているが、屋外歩行時には転倒への不安があるため外出を控えている。この患者の Hoehn & Yahr の重症度分類ステージはどれか。
- Ⅰ
- Ⅱ
- Ⅲ
- Ⅳ
- Ⅴ
解答解説
正解は3. Ⅲです。
Hoehn & Yahrの重症度分類は、パーキンソン病の進行度を5段階で評価するものです。この患者は次の特徴があります:
- 両側の症状(安静時振戦、筋強剛)を認める(Stage II以上)。
- 歩行障害とバランスの問題を訴えており、転倒のリスクが高い状況にある(Stage IIIが該当)。
- ただし、日常生活は自立しており、Stage IVやVの「日常生活で他者の介助が必要」とまでは進行していません。
以上より、Stage IIIが適切と判断されます。
選択肢の解説
- I
この選択肢は誤りです。
Hoehn & Yahr分類のStage Iは、片側性の症状のみが見られる段階です。この患者は両側性の症状があるため、この段階には該当しません。 - II
この選択肢は誤りです。
Stage IIは、両側性の症状が出現するものの、バランス障害がない段階です。この患者は歩行中にバランス障害が見られるため、Stage IIには該当しません。 - III
この選択肢が正解です。
Stage IIIは、両側性の症状に加えてバランス障害が出現しますが、日常生活は自立している段階です。この患者の症状と生活状況がStage IIIの特徴に一致します。 - IV
この選択肢は誤りです。
Stage IVは、重度の症状があり、日常生活で他者の介助が必要となる段階です。この患者は日常生活で自立しており、この段階には該当しません。 - V
この選択肢は誤りです。
Stage Vは、車椅子やベッド上での生活が主体となる段階です。この患者は外出を控える状況ではあるものの、日常生活はまだ自立しており、この段階には該当しません。
ワンポイントアドバイス
Hoehn & Yahrの分類は、以下の特徴を覚えておきましょう:
- Stage I:片側性の症状のみ。
- Stage II:両側性の症状が出現するが、バランス障害はなし。
- Stage III:バランス障害が出現するが、自立可能。
- Stage IV:日常生活に介助が必要。
- Stage V:車椅子またはベッド上の生活。
特にStage IIIは、自立しているが転倒リスクがある患者に該当しやすいことを押さえておくと、問題を解く際のヒントになります。