第58回

第58回理学療法士国家試験 午前問題5

66歳の男性。左下腿切断。30年前からの2型糖尿病で左下肢の閉塞性動脈硬化症のため切断し、下腿義足を製作した。この下腿義足ソケットの種類はどれか。

  1. KBM式
  2. PTB式
  3. TSB式
  4. 吸着式
  5. 在来式

解答解説

正解は3. TSB式です。

画像に示されたソケットは、断端にライナーを装着して密着させる形状であり、TSB式(Total Surface Bearing:全接触支持式)の特徴を示しています。TSB式は断端全体に均等に荷重を分散し、特定部位に過剰な圧力がかかることを防ぐ設計です。この方式は、断端の皮膚や組織を保護し、糖尿病や血流障害を背景とする患者にも適しています。

各選択肢の解説

  1. KBM式
    この選択肢は誤りです。KBM式は大腿義足で使われるソケットの一種であり、下腿義足のソケットではありません。
  2. PTB式
    この選択肢は誤りです。PTB式(Patellar Tendon Bearing:膝蓋腱支持式)は、膝蓋腱を主な支持部位とするソケットです。断端全体で荷重を分散するTSB式とは異なり、膝蓋腱など特定部位に荷重が集中する設計です。
  3. TSB式
    この選択肢が正解です。TSB式は、断端全体に圧力を分散させる構造を持ちます。画像のようにライナーを用いて断端を密着させるデザインはTSB式の特徴であり、糖尿病や血流障害のある患者に適したソケットです。
  4. 吸着式
    この選択肢は誤りです。吸着式は大腿義足で使用されることが一般的で、真空環境を利用してソケットを断端に密着させる方式です。下腿義足には通常用いられません。
  5. 在来式
    この選択肢は誤りです。在来式は支持部位が限られており、断端全体をサポートする構造ではありません。画像のようなライナーを用いる方式とも異なります。

ワンポイントアドバイス

TSB式は断端全体に荷重を分散し、特定部位への圧迫を軽減するため、糖尿病や血流障害のある患者に特に有用です。 PTB式との違いを明確に覚え、ライナーの有無や支持方式を判断基準とすることが重要です。ソケットの種類ごとの特徴を押さえておきましょう。