58 歳の男性。脳卒中による左片麻痺。Brunnstrom 法ステージ上肢Ⅳ、手指Ⅲ、下肢Ⅳ。麻痺側の位置覚検査を行う際の患者への指示で適切なのはどれか。
- 「掌を上に向けて、両腕を水平に保ってください」
- 「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」
- 「左足の親指を動かします。何回動いたか答えてください」
- 「右膝を曲げますので、左脚を同じように曲げてください」
- 「左手の親指が手の甲の方へ動いたら “上”、掌の方へ動いたら “下” と答えてください」
解答解説
正解は2. 「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」です。
位置覚検査は、患者が関節や肢位の変化を感じ取る能力を評価するもので、通常は患者の視覚情報を遮断して行います。正解の「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」という指示は、麻痺側(左側)の肢位を動かして位置覚を刺激し、その情報を麻痺していない側(右側)で再現するという方法です。このアプローチは位置覚検査の典型的な方法に該当します。
選択肢の解説
- 「掌を上に向けて、両腕を水平に保ってください」
この選択肢は誤りです。
これは筋力や姿勢保持能力を評価する内容であり、位置覚検査の方法ではありません。 - 「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」
この選択肢が正解です。
位置覚検査では、関節を動かした後にその肢位を患者が認識し、反対側で再現する方法が基本です。この選択肢の指示は、位置覚検査として適切です。 - 「左足の親指を動かします。何回動いたか答えてください」
この選択肢は誤りです。
動作回数を数える指示は位置覚の評価ではなく、運動覚や注意力の検査に近い内容です。位置覚検査では「どこに動いたか」や「どの位置か」を答えさせることが求められます。 - 「右膝を曲げますので、左脚を同じように曲げてください」
この選択肢は誤りです。
両側で同時に動作を行わせる方法は、協調性や運動機能を確認するものであり、位置覚検査の方法としては不適切です。 - 「左手の親指が手の甲の方へ動いたら ‘上’、掌の方へ動いたら ‘下’ と答えてください」
この選択肢は誤りです。
動きの方向を答えるように指示する方法は、運動覚や動作方向の認識を評価するものであり、肢位そのものを評価する位置覚検査とは異なります。
ワンポイントアドバイス
位置覚検査では、患者が視覚を使わずに関節の位置や動きを正確に認識できるかを評価します。基本的な手順としては以下を覚えておきましょう:
反対側の肢位で再現する指示を出すのが一般的な方法です。
試験では「位置覚」「運動覚」「触覚」の違いを正確に把握することが重要です。
動かす側の肢位を適切に調整し、患者に動きを感じ取らせる。