第58回

第58回理学療法士国家試験 午前問題26

筋収縮で正しいのはどれか。

  1. 骨格筋の最大収縮時には筋細胞の長さが約10%短くなる。
  2. アクチンフィラメントはミオシンフィラメントより太い。
  3. 筋小胞体からのK+放出により筋収縮が開始される。
  4. ATPを分解する酵素はアクチンに存在する。
  5. 筋収縮時にH帯は短くなる。

解答解説

正解は5.筋収縮時にH帯は短くなるです。
筋収縮の際、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントに滑り込むことで、H帯(ミオシンのみの領域)は縮小します。また、I帯(アクチンのみの領域)も短くなりますが、A帯(ミオシンの全長)は変化しないことが特徴です。

各選択肢の解説

  1. 骨格筋の最大収縮時には筋細胞の長さが約10%短くなる
    この選択肢は誤りです。筋細胞の長さの変化は、収縮状況や外力によりますが、一律に10%短縮するわけではありません。
  2. アクチンフィラメントはミオシンフィラメントより太い
    この選択肢は誤りです。アクチンフィラメントはミオシンフィラメントより細いため、この記述は誤りです。
  3. 筋小胞体からのK+放出により筋収縮が開始される
    この選択肢は誤りです。筋収縮の開始には、筋小胞体からのCa²⁺放出が関与します。K⁺ではありません。
  4. ATPを分解する酵素はアクチンに存在する
    この選択肢は誤りです。ATPを分解する酵素(ATPase)は、ミオシン頭部に存在します。アクチンにはありません。
  5. 筋収縮時にH帯は短くなる
    この選択肢が正解です。筋収縮の際、アクチンがミオシンに滑り込むため、H帯(ミオシンのみの部分)は短くなります。正しい記述です。

ワンポイントアドバイス

筋収縮の滑り説に基づき、収縮時のバンド変化を覚えておきましょう。H帯とI帯が短縮し、A帯は変化しないことがポイントです。また、ATPaseの役割やCa²⁺の関与も頻出事項です。