80歳の男性。胸部CT(別冊No.2)の所見について、この患者で低下が予想されるのはどれか。
- 1秒率
- 残気量
- 気道抵抗
- 全肺気量
- 肺コンプライアンス
解答解説
正解は1.1秒率です。
胸部CT画像から、両肺において気管支壁の肥厚や気腫性変化が認められます。これらの特徴は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を示唆します。COPDでは、気道の閉塞による呼吸機能の低下が生じ、特に1秒率(努力性肺活量中、最初の1秒間に呼出できる空気量の割合)が低下することが特徴です。
各選択肢の解説
- 1秒率
この選択肢が正解です。1秒率は、気道閉塞の程度を示す指標であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)では低下します。これは、気道の狭窄や閉塞により、1秒間で呼出できる空気量が減少するためです。 - 残気量
この選択肢は誤りです。COPDでは気腫性変化により、呼出後も肺内に空気が残るため、残気量はむしろ増加します。 - 気道抵抗
この選択肢は誤りです。COPDでは気道抵抗が上昇することが特徴ですが、「低下が予想される」項目ではないため該当しません。 - 全肺気量
この選択肢は誤りです。COPDでは肺の過膨張により全肺気量(TLC)は増加します。従って、低下することはありません。 - 肺コンプライアンス
この選択肢は誤りです。COPD(特に気腫性変化)では、肺組織の弾性が低下し、肺コンプライアンスはむしろ増加するため、この項目は該当しません。
ワンポイントアドバイス
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、1秒率の低下が診断の重要な指標です。また、残気量や全肺気量が増加する特徴も併せて理解し、呼吸機能検査の結果から疾患を見極めるスキルを身につけましょう。