寛解期にある多発性硬化症に対する理学療法の禁忌はどれか。
- 他動的な関節可動域練習
- 中等度強度の有酸素運動
- 低強度の筋力増強練習
- 電気刺激療法
- 温熱療法
解答解説
正解は「5」です。
多発性硬化症(MS)では、温熱療法が禁忌とされています。温熱療法は体温を上昇させるため、症状を一時的に悪化させる「ウートフ現象(Uhthoff’s phenomenon)」を引き起こすリスクがあります。寛解期であっても体温の上昇には注意が必要です。他の選択肢は適切に行えば問題ありません。
選択肢ごとの解説
- 他動的な関節可動域練習
寛解期の多発性硬化症患者に対して、関節の柔軟性維持や拘縮予防を目的とした他動的な関節可動域練習は有効であり、禁忌ではありません。 - 中等度強度の有酸素運動
中等度の有酸素運動は、疲労感の管理や全身の体力向上に効果的であり、推奨されます。ただし、過度な疲労を避けるよう配慮する必要があります。 - 低強度の筋力増強練習
低強度での筋力トレーニングは、筋力維持や筋萎縮の予防に有効です。疲労感に注意しながら行えば問題ありません。 - 電気刺激療法
電気刺激療法は筋肉の強化や痙性軽減に用いることが可能であり、禁忌ではありません。ただし、刺激の強さや適用部位には注意が必要です。 - 温熱療法
正解です。 温熱療法は体温を上昇させるため、症状悪化のリスクがあるため禁忌です。寛解期であっても安全とは言えません。
ワンポイントアドバイス
多発性硬化症のリハビリでは、疲労感や体温の上昇に特に注意が必要です。寛解期でも温熱療法は避け、運動負荷を調整しながら体力維持を図ることが重要です。試験対策では、「ウートフ現象」とその対策を理解しておきましょう。