第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題5

73 歳の男性。身長 170 cm、体重 55 kg。糖尿病でインスリン治療導入中。運動強度の決定のため自転車エルゴメーターを用いて、 1 分間に 20 Watts 増加させるランプ負荷法で心肺運動負荷試験を行った。二酸化炭素排出量および酸素摂取量の変化のグラフ(別冊No. 2)を別に示す。


指導すべき適切な運動強度はどれか。
ただし、 1 MET の酸素摂取量は 3.5 mL/min/kg とする。

1. 約 3 METs
2. 約 4 METs
3. 約 5 METs
4. 約 6 METs
5. 約 7 METs

解答解説

正解は 4. 約6 METs です。

計算方法

  1. 酸素摂取量の確認 グラフから、酸素摂取量が約1,200 mL/minであると読み取れます。
  2. 1 METの酸素摂取量を算出 METsは、酸素摂取量を1 MET(基準値)で割ることで計算します。
    1 MET = 3.5 mL/min/kg なので、この患者(体重55 kg)における1 METは以下のように求められます。(※1)
  3. METsの計算
    実際の酸素摂取量1,200 mL/minを上記の1 METの酸素摂取量192.5 mL/minで割ります。(※2)

※1

※2

各選択肢の解説

  1. 約3 METs
    酸素摂取量が低すぎるため、この患者の運動強度としては不適切です。
  2. 約4 METs
    4 METsでは不足しており、患者の試験結果からは不適切です。
  3. 約5 METs
    5 METsも近い値ではありますが、試験結果から考えると若干低めであり、適切ではありません。
  4. 約6 METs
    試験結果(6.2 METs相当)に最も近く、患者にとって適切な運動強度です。
  5. 約7 METs
    7 METsは過剰な運動強度になる可能性があり、患者への負担が大きくなりすぎるため不適切です。

ワンポイントアドバイス

心肺運動負荷試験の結果から運動強度を計算する際は、酸素摂取量(mL/min)を体重で割り、1 METと比較することでMETsに換算します。特に糖尿病患者など慢性疾患を抱える方の場合、運動強度が適切であることが重要です。