73 歳の男性。身長 170 cm、体重 55 kg。糖尿病でインスリン治療導入中。運動強度の決定のため自転車エルゴメーターを用いて、 1 分間に 20 Watts 増加させるランプ負荷法で心肺運動負荷試験を行った。二酸化炭素排出量および酸素摂取量の変化のグラフ(別冊No. 2)を別に示す。
指導すべき適切な運動強度はどれか。
ただし、 1 MET の酸素摂取量は 3.5 mL/min/kg とする。
1. 約 3 METs
2. 約 4 METs
3. 約 5 METs
4. 約 6 METs
5. 約 7 METs
解答解説
正解は 4. 約6 METs です。
計算方法
- 酸素摂取量の確認 グラフから、酸素摂取量が約1,200 mL/minであると読み取れます。
- 1 METの酸素摂取量を算出 METsは、酸素摂取量を1 MET(基準値)で割ることで計算します。
1 MET = 3.5 mL/min/kg なので、この患者(体重55 kg)における1 METは以下のように求められます。(※1) - METsの計算
実際の酸素摂取量1,200 mL/minを上記の1 METの酸素摂取量192.5 mL/minで割ります。(※2)
※1
※2
各選択肢の解説
- 約3 METs
酸素摂取量が低すぎるため、この患者の運動強度としては不適切です。 - 約4 METs
4 METsでは不足しており、患者の試験結果からは不適切です。 - 約5 METs
5 METsも近い値ではありますが、試験結果から考えると若干低めであり、適切ではありません。 - 約6 METs
試験結果(6.2 METs相当)に最も近く、患者にとって適切な運動強度です。 - 約7 METs
7 METsは過剰な運動強度になる可能性があり、患者への負担が大きくなりすぎるため不適切です。
ワンポイントアドバイス
心肺運動負荷試験の結果から運動強度を計算する際は、酸素摂取量(mL/min)を体重で割り、1 METと比較することでMETsに換算します。特に糖尿病患者など慢性疾患を抱える方の場合、運動強度が適切であることが重要です。