第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題46

IL〈Independent Living〉運動で正しいのはどれか。

  1. 1990年代後半に起こった
  2. スウェーデンが発祥である
  3. 社会的排除への戦略として提唱された
  4. 障害者の自己決定促進の取り組みである
  5. 障害の医学的モデルに基づくものである

解答解説

正解は 4. 障害者の自己決定促進の取り組みである です。

IL運動(Independent Living運動)は、障害者が自らの生活を自己決定し、自己管理する権利を主張する活動です。障害者の「自立」を目指す運動で、社会参加や環境整備を重視する「社会モデル」に基づいています。1970年代にアメリカで始まり、障害者自身が運動の主体となりました。

各選択肢の解説

  1. 1990年代後半に起こった
    IL運動の起源は1970年代のアメリカであり、1990年代後半ではなく、それ以前から活動が始まっています。
  2. スウェーデンが発祥である
    IL運動はアメリカが発祥です。スウェーデンをはじめとする他国にも影響を与え、広がりましたが、発祥地ではありません。
  3. 社会的排除への戦略として提唱された
    IL運動は社会的排除への対策といえる部分もありますが、主目的は障害者の自己決定権の確立であり、「戦略」として提唱されたものではありません。
  4. 障害者の自己決定促進の取り組みである(正解)
    IL運動の核心は、障害者が自分の生活を自ら選択し、管理する権利を確立することです。この点が運動の本質であり正しい記述です。
  5. 障害の医学的モデルに基づくものである
    IL運動は医学的モデルではなく、障害を社会的環境の問題ととらえる「社会モデル」に基づいています。障害者が社会からの支援や環境整備を受けながら、自己決定を実現することを重視しています。

ワンポイントアドバイス

IL運動は、医学的モデル(障害は治療やリハビリで克服すべきもの)から、社会モデル(障害は環境や制度の整備不足が原因)へのパラダイムシフトを象徴する運動です。障害者自身が主体的に取り組む運動として、「自己決定」「社会参加」「支援サービスの整備」などがキーワードとなります。