第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題4

50 歳の女性。 2 日前に階段を下りた際に膝を捻った。その直後から左膝の痛みが続いているため受診した。左膝内側および膝窩部に痛みがあり、McMurray テスト陽性であった。エックス線写真では明らかな異常所見を認めない。
次に確認すべき検査はどれか。


1. 関節造影
2. CT
3. MRI
4. PET〈positron emission tomography〉
5. SPECT〈single-photon emission computed tomography〉

解答解説

正解は 3. MRI です。

この患者は膝の捻挫後から内側および膝窩部の痛みを訴え、McMurrayテスト陽性という所見があるため、半月板損傷が疑われます。X線写真では骨の異常は認められませんが、半月板や軟部組織の損傷はMRIが有用です。MRIは軟部組織の状態を評価するのに適しており、関節内部の構造や軟骨、靭帯、半月板の損傷の有無を確認することができます。

各選択肢の解説

  1. 関節造影
    関節造影は関節内の形状や軟骨の評価に使用されることがありますが、現在はMRIのほうが非侵襲的で詳細な情報が得られるため、半月板損傷が疑われる場合は優先されません。
  2. CT
    CTは骨構造の評価に優れているため、骨折や骨の変形などを確認するのに適していますが、半月板や靭帯などの軟部組織の評価には向いていません。そのため、今回のような半月板損傷の疑いがあるケースには適しません。
  3. MRI
    MRIは軟部組織の評価に優れており、半月板や靭帯損傷の診断に最適な検査です。今回のようにX線で異常が確認できず、軟部組織の損傷が疑われる場合にはMRIが選択されるべきです。
  4. PET〈positron emission tomography〉
    PETは腫瘍の評価や代謝活性を観察する目的で使用され、膝関節の軟部組織損傷の診断には適しません。膝の捻挫による痛みの原因確認には不適切です。
  5. SPECT〈single-photon emission computed tomography〉
    SPECTもPET同様に骨や腫瘍の代謝評価に使用されます。膝の軟部組織や半月板の損傷診断には有用ではなく、不適切です。

ワンポイントアドバイス

McMurrayテストは半月板損傷を疑う際に行われるテストで、陽性の場合は特に内側半月板の損傷が示唆されます。また、半月板や靭帯など軟部組織の損傷はMRIが最も有効な検査であるため、怪我の状況や痛みの場所から半月板が疑われたら、MRIが最優先されるべき検査となります。