第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題3

65 歳の男性。入浴中、軽度の意識障害および左片麻痺が突然出現したため救急車で搬送された。救急外来到着時の頭部単純 CT(別冊No. 1)を別に示す。

考えられるのはどれか。

1. 慢性硬膜下血腫
2. くも膜下出血
3. 脳梗塞
4. 脳挫傷
5. 脳出血

解答解説

正解は 5.脳出血 です。

解説:CT画像では、右側の脳内に高吸収域(白く映る領域)が見られます。これは急性の脳出血を示す典型的な所見です。脳出血はCTで白く映り、特に高血圧性脳出血では被殻や視床などが好発部位です。本症例では突然の意識障害と左片麻痺が出現していることからも、右大脳半球の出血が原因である可能性が高いです。この画像および症状は、脳出血の特徴に一致しています。

選択肢の解説

  1. 慢性硬膜下血腫
     慢性硬膜下血腫では、CTで低吸収域(黒く映る)が特徴的で、血腫が広がっている形状が多いです。また、慢性のため症状は徐々に進行することが一般的であり、このような急性発症のケースには一致しません。
  2. くも膜下出血
     くも膜下出血では、CTで脳底槽やシルビウス裂などに出血が見られますが、本画像ではそのような所見は確認できません。さらに、くも膜下出血では頭痛が主症状となることが多く、片麻痺は少ないため、この症例とは異なります。
  3. 脳梗塞
     脳梗塞の急性期ではCTで明確な異常が映らないことが多く、時間が経過すると低吸収域が見られるようになります。しかし、ここでのCT画像では白い高吸収域が確認でき、これは脳梗塞には典型的ではありません。
  4. 脳挫傷
     脳挫傷は主に外傷が原因で生じるもので、CTで脳実質に複雑な出血パターンが見られることが多いですが、本症例に外傷歴はなく、画像も脳出血に一致するため、脳挫傷とは考えにくいです。
  5. 脳出血
     脳出血はCTで高吸収域として白く映る急性出血像が特徴です。突然の発症で片麻痺が出現するのも典型的な症状です。今回のCT画像と症状から、脳出血が最も適切な診断といえます。

ワンポイントアドバイス

脳出血の診断には頭部CTが非常に有用で、急性期の出血は白く映ります。高血圧性脳出血が多くみられる部位には、被殻、視床、小脳、橋があり、症状は出血部位によって異なります。片麻痺が見られる場合、出血が対側の大脳半球に生じている可能性が高いです。